メルカトル図法、正距方位図法、モルワイデ図法にはそれぞれどんな違いがあるんでしょうか?
どんな良いところがあるか、どんな欠点があるんでしょうか?メルカトル図法・正距方位図法・モルワイデ図法の特徴は?
メルカトル図法・正距方位図法・モルワイデ図法の特徴・違いは?
モルワイデ図法の一番の特徴というか目的は「正積」。面積関係が正しくなるように作ってます。
よく似た図法にサンソン図法があって、正積の上に緯線の間隔も経線の間隔も正しいのですが、北極と南極がとんがってて見た目が変なので、「楕円にしたらどうだ?」とモルワイデさんが考えたのです。だから見た目は割といい。
もう一つの特徴は、モルワイデ図法もサンソン図法もそうですが、「緯線が平行直線」。つまり同じ緯度である場所が一目でわかる。これは意外と重要な特徴です。
ハンメル図法というのがあって、モルワイデ図法によく似た正積図法なのですが、緯線が平行直線ではありません。そのせいでほとんど使われません。
モルワイデ図法の欠点は、数学的に見ると歪みまくっている事。実は、見た目に反してサンソン図法よりも歪みまくってます。
実際に比べて中央付近は少し縦に伸びてますし、北極南極付近は横に伸びてますし、中緯度の端の方は斜めになってます。
次にメルカトル図法。最大の特徴は「正角」。
モルワイデ図法では本来の形より縦や横や斜めに伸びて形が歪んでますが、メルカトル図法ではこの歪みがほとんどありません。
「狭い範囲を拡大してみれば」、北海道もニュージーランドもバリ島もグレートブリテン島も、大体正しい形をしています。
ただし緯度によって拡大率が違ってくるので、全体を見てみると、面積は正しくありません。狭い範囲でみれば本物の地球上の地形と大体相似だけど、大きさについては保証しないわけです。
(小さな範囲で限れば)角度や形が正しいというのは、見た目だけの問題ではなく、地面の傾斜や気圧傾斜のように「傾斜」を考える際に重要になってきます。だから地形図や天気図ではかならず正角図法が使われます。もちろん経線との間の角度(方位)も短い距離に限れば正しいので、方位が重要な海図や航空図も正角図法です。
メルカトル図法では地図上の角度が正確であることですが、極地付近では図が拡大されてしまい、面積、方位が正確ではないという特徴があります。
昔は航海図として使われていたと言う。
ですので、昔の航海で磁石で北を決めて常に東にか舵を切れば同じ緯度を東に行けますが、出発点で東に定め進むと丁度自分の位置からすれば地球の裏側に向かうことになるのです。
またメルカトル図法は、モルワイデ図法と同様に緯線が平行直線で、さらに経線も平行直線です。つまり、同緯度、同経度の関係が分かりやすい図です。
同じ正角図法に平射図法というのがあって、実は昔は平射図法がよく使われていました。江戸時代以前の世界地図で、大きな丸2つの中に世界が描かれた地図がありますが、あれです。
しかし今ではほとんどメルカトル図法に置き換えられています。同緯度というのは気候が大体同じ、同経度は時差がない、という事で、そういう点に着目する事が多いので、メルカトル図法の方が便利だったのでしょう。
世界全図でなければランベルト正角円錐図法がよく使われますが。
正距方位図法は、中心点から世界を見るという観点では優れた図法です。中心点から見た時の最短距離が正しく、それが直線になり、その方向が正しい。しかもそれが一目でわかる。
でも中心点以外から見ると、何も正しくない。
まとめ:メルカトル図法・正距方位図法・モルワイデ図法の特徴・違いは?
■メルカトル図法
緯線と経線の交わる角度は常に90度→航海の海図に利用される。
■正距方位図法
地図の中心部から地図上の任意の地点までの最短距離が直線で表すことができる。
また、中心部からの方位も方位記号通りで表すことができる。→主に航空機の飛行航路で利用される。
■モルワイデ図法
地図上の任意の場所で実際の面積との比が等しくなる正積図法の一つ。
ちなみに、ミラー図法は北極点・南極点を地図に書き入れることができる(地図の上下端の直線)。
メルカトル図法はそれができず、北極点・南極点は無限遠となる。そのため、途中で切らざるを得ない。
数十年前の社会の教科書などを見ると、メルカトル図法だろうな…という地図がたくさん入っている。この図法では、ソビエト連邦が嫌になるほど大きく威圧的に見える。