ポリ袋のユニフォームを着てサッカーをするアフガニスタンの少年の姿がSNSで投稿されるやたちまち大きな反響を呼びました。
メッシ本人が投稿を知ると、その人物が誰なのかとSNSで呼びかけたことからアフガニスタンの少年が特定されサイン入りのユニフォームがプレゼントされるだけではなく、さらに大きなプレゼントも用意されました。
ただ、メッシのユニフォームを受け取ったアフガニスタン少年には、その後、残酷な現実が待ち受けていました。
メッシの手作りポリ袋ユニフォームが拡散!
アフガニスタンの南東部ガズニー州に住む貧しい家族の少年は、サッカーチームのレプリカユニフォームを買う余裕はありませんでした。
そこで、兄はアルゼンチン代表のユニフォームそっくりの青と白の縦縞の入ったポリ袋でユニフォームを作り、それに10番の背番号とメッシ選手の名前をマジックで書きました。
その様子がネットに投稿されるやたちまち拡散。
「少年の名前と居場所を教えて」というメッシの公式ファンアカウントの呼びかけもあったことから、アフマディ・モルテザー(ムルタザ)君であることが判明。
メッシはユニセフを通じてサイン入りユニフォームとサッカーボールを送ると、ユニセフスタッフから「メッシのプレゼント」を受け取るムルタザの様子は再びネット上にアップされました。
ムルタザ君はその後「いつかメッシに会えたら一緒にプレーしたい」と猛特訓に励んでいました。
アフガニスタンのサッカー関係者は、メッシ選手の代理人に連絡すると、2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会組織委員会が2人の対面を企画。
2016年12月にメッシが所属するスペイン・バルセロナがカタールのドーハで行った親善試合にムルタザ君が招待されると、メッシと手をつないで入場し「ヒーローに会えてとてもうれしい。僕の夢だった」と話していました。
メッシと対面したアフガニスタン少年のその後…
ムルタザ君は兄の作ったポリ袋のユニフォームとメッシからもらったユニフォームを交互にきてボールを蹴っていたそうですが、幸せな時間はどうやら長くは続かなかったようです。
原因は2つあり、1つ目はアフガニスタンでは旧支配勢力であるタリバンとの戦闘が今も続いていること。
治安は悪化する一方で、居住する地域にタリバン勢力の脅威が迫っていました。
ムルタザ君の家族はイスラム教シーア派の信者が多いハザラ族。ハザラ族はイスラム教スンニ派の原理主義組織タリバンから標的とされてきた。
家族が住んでいたガズニ周辺はタリバンとの紛争では戦略的に重要な拠点とされ、タリバンは8月と11月に、ガズニを大々的に攻撃。
数千人の地元住民が避難を余儀なくされ、市民や兵士、反体制派合わせて数百人が殺害された地域でもあります。
さらに追い打ちをかけたのが、なんと地域住民でした。
ムルタザ君と母親は他の避難民らとともに首都カブールに逃れることになった
一躍時の人となったムルタザ君とその家族は「なぜコーランではなくサッカーを学ばせるんだ」という内容の手紙を繰り返し送られてきたほか、
メッシのユニフォームや現金を要求するギャングの電話、有名人となったムルタザ君の誘拐を示唆する脅迫、さらには家の中を物色されたこともあるようです。
身の危険を感じた一家はアフガニスタンを脱出して隣国であるパキスタン・カブールへと避難。
その際、メッシからプレゼントされたユニフォームも含め、家財道具を持ち出すことはできず、
ムルタザ君と両親、そして4人の兄弟は、カブールにある共同アパートの狭い1部屋で暮らしているとのこと。