喪中はお祝い事を避けなければいけない、
とされています。
たとえば、
- 誕生のお祝い
- 出産祝い
- 結婚祝い
- 進学祝い
などなどを喪中にしてはいけないということになりますが、
七五三や成人式も喪中は避けなければいけないのかというと、
絶対にダメというわけではありません。
喪中ではなく忌中(49日)を終えていて、
自分や家族・親族の気持ちの整理さえついていれば、
七五三や成人式を行っても構いません。
七五三や成人式にはお祝いの意味もありますが、
これまでの成長に感謝をする、
今後の健やかな成長を願う
という意味合いもあるからです。
人としての健やかな成長をお願いする行事と解釈すれば、
喪中でも七五三でお参りや写真撮影をしたり、
成人式の式典に振袖を着て参加をしても構いません。
喪中でも七五三のお参りをしてもOK!
喪中に七五三のお参りをしたり、
子供に着物を着せて写真撮影しても良いのかというと、
絶対にやってはいけない、というルールがあるわけではありません。
喪中とはいわゆる「喪に服す」期間というわけですが、
喪中の概念は神道にも仏教にも由来しているわけではなく、
慣習的に行われてきたことだからです。
喪中は一般的にはお祝い事を控えるべきとされるものの、
七五三にはお祝いの意味以外にも、
子供のこれまでの成長を(神様に)感謝をする、
今後の健やかな成長を神様に願う、
という意味もあります。
後者の意味を重視するのであれば、
喪中であっても七五三をすることに何の問題もありません。
忌明け前に七五三のお祝いをするのは避けよう
喪中であっても忌中とされる期間は、
七五三は避けたほうが良いでしょう。
忌中とは亡くなってから四十九日間のことを指していて、
身を慎んで外部との接触を断ち、
祭りなどへの参加を自粛してきた、
という伝統的な喪に服す期間です。
忌中は神道に基づいた考え方と言われていますが、
仏教の考え方と混ざりあった結果、
死後49日で次の命を受けることから、
49日が忌中期間と去れるようになりました。
仏教の考え方をそのまま適用すると、
四十九日法要=忌明け法要が終わった段階で
忌明けとされ、一応は喪に服すべき期間が終了となるので、
七五三のお祝いをしてもかまわない、と解釈できます。
七五三の写真撮影も喪中にやっても良い
喪中であっても七五三の写真撮影をして
何の問題もありません。
七五三と言えば今では
お参りと写真撮影がワンセットになっていますよね。
スタジオアリスなどに行けば、
七五三用の着物・衣装をレンタルして、
専用の写真スタジオで写真撮影してもらえます。
また着物・衣装を着たまま、
お参りに行くこともできます。
一般的な七五三の時期
七五三の日取りは一般的には
毎年11月15日とされているものの、
別に11月15日にこだわる必要はありません。
七五三の由来にはいくつかあり、有力な説の一つに、
江戸幕府第5代将軍、徳川綱吉の長男である
徳川徳松の健康を願うためにお参りをしたのが
天和元年(1681年)11月15日だったから、というもの。
この説から考えると11月15日が正式な
七五三の日取りのように思えるものの、
この時代の暦は太陽暦ではなく太陰暦(旧暦)です。
太陽暦で考えると12月24日に変わってしまい、
日付の考え方が大きくずれることになります。
七五三の時期は別に11月15日前後にこだわらず、
11月15日以前でも、11月15日以降でも構いません。
最近の傾向では10月中旬から七五三をする家族が増え始め、
11月前半の吉日や土日祝日などを利用する人が多いそうです。
12月に七五三をしても特に問題はないですが、
さすがに寒さが厳しい時期になってくるので、
子供の寒さ対策に気を付けましょう。
お寺で七五三のお参りをする場合
七五三のお参りをするのは一般的には神社です。
七五三のお願いをするのは神道の神様となりますから、
神様を祭っている神社にお参りするのが一般的ですが、
仏教のお寺で七五三のお参りをしても構いません。
お寺にお参りをする場合の正式な作法としては、
1.山門をくぐるときに一礼する
神社では鳥居をくぐる前に一礼するのに対して、
お寺には鳥居ではなく山門が入り口となるので、
山門の前で一礼してから入ります。
2.お線香をあげる
お寺によっては→蝋燭や線香が用意されていることがあります。
その場合にはろうそくと線香に火をつけて
蝋台と香炉に捧げます。
3.参拝の時は手を合わせて一礼のみ。柏手はしない
神社での参拝は「二礼二拍手一礼」ですが、
お寺では柏手はしません。
手を合わせ一礼するだけにしましょう。
七五三の由来:子供の成長を願う意味がある
七五三では食事会をしたり子供のお披露目会をするなど、
お祝い事が連続する行事ではありますが、
子供の成長を願う意味があるというのは、すでにふれたとおりです。
現代とは違って以前は幼いうちに
子供が亡くなってしまうことが割合が多く、
子供が立派な大人に成長できるかどうかは、
不確定要素が非常に強い状態でした。
乳幼児が亡くなると昔は、立派な墓ではなく
簡素で独特な水子供養で弔われていました。
乳幼児だと現世へのしがらみが少なく、
すぐに転生すると考えられていたため、
転生への妨げにならぬようにという配慮からです。
こうした背景を受けて、
数え年で3歳、5歳、7歳でそれぞれ、
- 数え年3歳(満年齢2歳) 髪置きの儀(かみおきのぎ)
- 数え年5歳(満年齢4歳) 袴儀(はかまぎ)
- 数え年7歳(満年齢6歳) 帯解きの儀(おびときのぎ)
といった儀式のようなものが行われていて、
これが現在の七五三へとつながっています。
髪置きの儀(かみおきのぎ)とは江戸時代、
生まれてから3歳までは髪を剃る習慣があり
3歳でこの習慣を止め髪を伸ばし始めるという男女共通の儀式
袴儀(はかまぎ)は男の子が袴を
着用し始めるという儀式で男子のみ。
帯解きの儀(おびときのぎ)は
女の子が成人同様の幅の広い帯を
結び始める儀式で女子のみとなります。
喪中でも成人式のお参りをしてもOK!
七五三と同じく喪中であっても
成人式の式典に参加をしても構いません。
成人式とは20歳になったことを祝う意味合いもありますが、
無事に成人できたことを神様に感謝する、
という意味合いもあるからです。
神社にわざわざ参拝する必要はないものの、
以前は様々な通過儀礼のようなものがありました。
たとえば、浄土真宗では今でも
御正忌報恩講の間の日曜日に
新成人が帰敬式というのを行っています。
一人で鹿を狩れるようになったら一人前
米俵を一人で運べるようになったら大人
なんていう成人式の儀式もあるようです。
女性は喪中でも振袖を着ても良いの?
成人式と言えば女性は
振袖を着るのが常識のような雰囲気になっていますが、
喪中であっても振袖を着ても構いません。
どちらかというと長い袖を振る仕草が
「魔を祓う」「厄除け」になるとされ、
病気や厄にとりつかれないようにという
願いが込められている、という考え方もあります。
成人式の起源(由来)
成人式の由来は
数え歳で12~16歳になった男の子が行う
元服(げんぷく)です。
- 髪を大人の髪型に結う
- 大人の服装へと改める
- 幼名から新しい名に切り替える
- 冠をつける
といった儀式が行われていましたが、
江戸時代になると前髪を切り落とすだけに
簡略化されていきました。
成人式が1月15日とされているのは、
新年最初の満月に元服の儀を行う風習が
由来していると言われています。
昔と違って現在は20歳で成人式を行いますが、
これは1946年に埼玉県の蕨市で開催された青年祭で、
地域の新成人を集めた式典が行われたことに由来をしているようです。
ちなみに女子にも男子の「元服」と似た風習として、
裳着(もぎ)という儀式があります。
12~16歳になると腰から下にまとう
裳(も)という衣服を身に付けたそうです。
同時に垂らした髪を結いあげる髪上げも行われ、
子供の髪から大人の髪型へと変えていたそうです。