オリンピック競技の馬術について。
乗っている馬は会場に持ち込みしている？
パリ五輪2024では馬体検査(ホースインスペクション)で減点となり、総合馬術で日本は団体5位になりましたが、馬体検査の減点理由はなぜ？
オリンピック馬術｜馬体検査で減点の理由はなぜ？パリ五輪2024
馬体検査とは？
馬体検査（ホースインスペクション）とは、馬術競技において、馬の健康状態や競技への適性を確認するための検査です。獣医が馬の歩様、肢勢、体つきなどを詳細に観察し、競技に出場できる状態にあるかどうかを判断します。
馬体検査の目的と重要性
馬体検査の目的は、以下の3つに集約されます。
- 動物福祉の確保: 馬の健康状態を確認し、怪我や病気で苦しむ馬を競技に出場させないことで、動物福祉を確保します。
- 競技の公平性: 全ての馬が同じ基準で評価されるようにすることで、競技の公平性を保ちます。
- 競技の安全性: 健康状態が良好な馬のみが出場することで、競技中の事故を防止し、選手の安全を確保します。
馬体検査で減点される具体的な項目
馬体検査で減点される具体的な項目としては、以下のものが挙げられます。
- 跛行（はこう）： 足を引きずるなど、歩様異常がある場合。
- 肢勢異常: 足の骨格や関節に異常がある場合。
- 体つきに異常: 痩せすぎ、太りすぎ、腫れなど、健康状態に問題があると思われる場合。
- 精神状態の異常: 過敏、興奮状態など、競技に支障をきたす可能性がある場合。
馬体検査を受ける際の注意点
馬体検査を受ける際は、以下の点に注意する必要があります。
- 体調管理: 十分な休息と栄養を与え、体調を万全にする。
- 蹄のケア: 蹄を定期的に手入れし、健康な状態を保つ。
- 柔軟性の維持: 柔軟体操や軽い運動で、筋肉の柔軟性を保つ。
- 精神的な安定: 落ち着いて検査に臨めるよう、普段から馴致をしっかり行う。
馬体検査に合格するために、日頃から行うべきケア
馬体検査に合格するためには、日頃から以下のケアを行うことが重要です。
- 定期的な健康診断: 獣医による定期的な健康診断を受ける。
- バランスの取れた食事: 高品質な飼料を与え、栄養バランスを整える。
- 適切な運動: 適度な運動を行い、筋肉量を維持する。
- 蹄のケア: 定期的に蹄を削り、蹄鉄を装着する。
- 精神的なケア: 穏やかな環境で過ごし、ストレスを軽減する。
馬体検査で不合格になった場合の対処法
馬体検査で不合格になった場合は、獣医師の指示に従い、原因を究明し、適切な治療を行う必要があります。再検査を受ける前に、十分な治療と回復期間を設けることが重要です。
オリンピックの馬術競技における馬体検査の特殊性
オリンピックのような大規模な国際大会では、より厳格な馬体検査が行われます。世界中のトップレベルの馬が集まるため、少しでも問題があると競技に参加できない可能性が高くなります。また、ドーピング検査なども行われ、フェアプレーが徹底されます。
オリンピック馬術｜馬は持ち込み？パリ五輪2024
オリンピック馬術に出場する馬は、選手が各自で会場に持ち込みます。 オリンピック馬術は、馬と騎手が一体となって高度な技術を競う競技であり、長期間のトレーニングと信頼関係が不可欠です。そのため、使い慣れた自分の馬でなければ最高のパフォーマンスは難しいとされています。
- 馬と騎手の絆: オリンピック馬術に出場する選手は、日頃から共に練習を重ね、深い絆で結ばれた自身の馬を帯同します。 馬と騎手は一心同体となって演技を行うため、騎手の技術だけでなく、馬の訓練と理解、そして互いの信頼関係が非常に重要となります。
- 高度な調教: オリンピックレベルの馬は、高度な調教を受けており、並みの技量の選手では全く動かないほど、人と馬の間に複雑な約束事が存在します。
- 輸送方法: 馬は貨物飛行機で輸送されます。 輸送には、馬のストレスを最小限に抑えるため、馬専用のコンテナ「ストール」が使用されます。ストール内には、馬の食事や水が用意されており、厩舎と同じように過ごせるよう配慮されています。
- 輸送費: 馬の輸送費は、数百万円から数千万円と高額です。
- 輸送の負担: 長距離輸送は馬にとって大きな負担となります。馬は繊細な動物であるため、狭い空間に閉じ込められたり、環境の変化にさらされることで、ストレスを感じ、体調を崩してしまうことがあります。 食欲不振や輸送熱、腸捻転などのリスクもあります。
近代五種との違い
近代五種では、選手は抽選で選ばれた馬に騎乗します。 これは、馬術以外の競技も含まれるため、公平性を保つための措置です。しかし、オリンピック馬術は馬と騎手の調和が最も重要視される競技であるため、選手は使い慣れた自身の馬を会場に持ち込みます。
オリンピック馬術について｜パリ五輪2024
オリンピック馬術競技は馬と騎手がペアになり、高度な技術と調和を競い合う、唯一動物と共に行うオリンピック競技です。 選手は普段から共に練習を重ね、深い信頼関係で結ばれた自身の馬を競技会場に持ち込みます。 これは、馬と騎手の一体感が重要視される馬術競技の特性から、抽選で選ばれた馬では最高のパフォーマンスを発揮することが難しい為です。
馬術競技は大きく3つの種目に分けられます。
- 馬場馬術: 馬場馬術は、馬の優雅さ、正確性、美しさを競う競技です。 決められた一連の動きを正確かつ美しく演出し、技術点と芸術点を競います。 まるで馬術のバレエと例えられるように、馬と騎手の息の合った動きは、高度な調教の賜物と言えるでしょう。 2024年のパリオリンピックでは、馬場馬術にふさわしい華麗な舞台として、ベルサイユ宮殿が使用されました。
- 総合馬術: 馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術の3種目を、同一の馬と騎手のペアで競う過酷な競技です。 3日間という長丁場の中で、馬と騎手の体力、技術、そして信頼関係が試されます。
- 障害馬術: 設置された複数の障害物を決められた順番に乗り越え、減点数を抑えつつ、いかに速くゴールできるかを競います。 この競技では、馬のジャンプ力と、騎手の的確なコース戦略が勝利の鍵となります。
オリンピック馬術競技の観戦ポイント
- 馬場馬術：
- 馬と騎手が一体となり、いかに優雅で正確な動きを見せることができるか。
- 音楽と調和した動きの美しさにも注目。
- 総合馬術:
- 3種目を通して、馬と騎手の両方が持てる能力を最大限に発揮できるか。
- 特にクロスカントリーでは、自然の地形を生かしたダイナミックな障害を、いかにクリアしていくかが見所。
- 障害馬術:
- 馬のダイナミックなジャンプと、騎手の戦略的なコース攻略に注目。
- 障害物の落下や時間超過など、減点数を抑えながらゴールできるかどうかも見どころ。
これらのポイントを踏まえ、観戦すると、オリンピック馬術競技をより一層楽しむことができるでしょう。
まとめ：オリンピック馬術｜馬は持ち込み？馬体検査で減点の理由はなぜ？パリ五輪2024
馬は持ち込みする？
オリンピック馬術競技に出場する馬は、選手が自身の所有する馬を各国から持ち込みます。これは、長期間にわたる高度なトレーニングと馬との信頼関係が重要となる馬術競技の特性上、普段から使い慣れた馬でなければ最高のパフォーマンスを発揮することが難しいからです。
近代五種のように、開催国で馬を用意する競技もありますが、オリンピック馬術では認められていません。
輸送方法
馬の輸送は、主に馬専用の貨物飛行機で輸送されます。機内には、馬がストレスを最小限に抑え、安全に移動できるように、馬用の特別なパレット（馬用コンテナ）が設置されています。
また、輸送には、経験豊富な獣医や馬の世話をするフラインググルームと呼ばれる専門スタッフが同行し、馬の健康状態やストレスに気を配りながら移動します。
馬体検査（ホースインスペクション・horse inspection）
馬体検査は、馬が競技に出場するのに適切な健康状態であるかを確認するために、獣医によって行われます。具体的には、歩行に問題がないか、足を引きずったりしていないか、怪我や異常がないかなどを検査します。
検査に合格しなければ競技続行はできません。
馬体検査で減点される理由
馬体検査で減点、不合格となる理由は、馬に歩行異常や怪我、健康上の問題が見つかる場合などです。
例えば、2024年パリオリンピックでは、日本チームの北島隆三選手の馬が馬体検査でホールディング（競技出場に適していないことによる出場の保留）と判断され、再検査でも不合格となってしまいました。
このとき、登録内容の変更によるペナルティで20点の減点が課せられています。
その他
- オリンピック馬術は、馬場馬術、総合馬術、障害馬術の3種目があります。
- 馬の輸送費は、数百万円から数千万円と言われています。
- 馬は繊細な動物であるため、長距離輸送は大きなストレスとなり、体調や精神面に影響を与える可能性があります。
