東京五輪2020ではサッカーを楽しみにしている人も多いんじゃないかと思います。
実際にスタジアムに足を運んでサッカー日本代表を応援しようと考えている人も多いんじゃないかと思いますが、
五輪(オリンピック)サッカーでは出場できる選手は23歳までという年齢制限が設けられています。
オリンピックでは基本的に年齢制限は設けられていないのに、なぜ五輪(オリンピック)サッカーだけが23歳以下に年齢制限されているんでしょうか?
五輪(オリンピック)サッカーで23歳以下年齢制限の理由はなぜ?
「アマチュアの祭典」とも呼ばれるオリンピックでは基本的に年齢制限は設けていないものの、
各競技ごとに目的・理由があれば年齢制限をしてもかまわない、という運用ルールとなっています。
過去のオリンピックで年齢制限に引っかかってしまった例を挙げると、
冬季オリンピックのスケート競技ではスピードスケート・フィギュアスケートともに
(大会前年の6月30日段階で)15歳以上という年齢制限が設けられていたため、
金メダルの有力候補だった浅田真央選手が62日間だけ足りずに惜しくもオリンピック出場を逃しています。
スケートの場合、体がまだ成長段階にある子供に対して、過酷な練習を強いることを避けることが目的のようですが、
サッカーの場合は逆に24歳以上だと出場できないという上限に対して年齢制限が設けられています。
ベテラン選手の出場を厳しく制限することで、ナショナルチーム間の実力差の開きを狭くする狙いもありそうですが、
実際にはサッカーを統括する団体のFIFAと、オリンピック運営組織のIOCのお互いの思惑の妥協案といった感じのようです。
そもそもオリンピックは「アマチュアの祭典」だったはずなのに1992年のバルセロナ五輪から徐々に
プロ選手の出場が緩和され始めています。
実際に1992年のバルセロナ五輪ではバスケットボールでアメリカのNBAに所属するスター選手が名を連ね、
全試合で無双を繰り広げて危なげなく金メダルを獲得しています。
見る人によっては面白くはなかったかもしれませんが、バスケットボールファンとしては、
スター選手が一同に揃う機会がなかったので、結果的に大好評のうちに幕を下ろしています。
IOCとしては、1976年のモントリオール大会では10億ドルの赤字を出すなど、
以前は資金繰りに随分と頭を悩ませていたようで、その打開策としてプロ選手にも門戸を開いた、という思惑があります。
「アマチュアの祭典」という大義名分を外してしまったものの、
より広範囲にスポンサーを募ることで収益を改善させることに成功。
今やオリンピックは一大スポーツビジネスと言えるイベントとなり
サッカーに関しても、年齢制限なんか設けずに全年代の選手に出場してもらいたいという思いが垣間見れます。
一方でFIFAとしては4年に1度開催されるワールドカップこそ、サッカー世界一を決める大会にしたい思惑があり、
そもそもプロのサッカー選手がオリンピックに出場すること自体、あまり良くは思っていないようです。
そんなIOCとFIFAが妥協点を見出した結果、ロサンゼルス五輪からサッカーでもプロ選手の出場が認められたものの、
オリンピックに出場した選手はワールドカップ予選および本大会の参加資格は与えられという措置が取られています。
その後、話し合いを重ねてたどり着いたのが
「23歳以下限定」という年齢制限ルールだと言われています。
さらに1996年のアトランタ五輪からは条件の緩和が進み、
現在も続いている選手3名のオーバーエイジ枠も設けられるようになりました。
ちなみに、サッカーでプロ選手の出場とオーバーエイジ枠が認められてからの日本のオリンピック出場歴並びに、
オリンピックの成績は下記のとおりです。
1996年 アトランタ五輪
→オーバーエイジ枠不使用
結果:グループリーグ敗退
優勝:ナイジェリア2000年 シドニー五輪
→楢崎正剛、森岡隆三、三浦淳宏
結果:ベスト8
優勝:カメルーン2004年 アテネ五輪
→曽ヶ端準、小野伸二
結果:グループリーグ敗退
優勝:アルゼンチン2008年 北京五輪
→オーバーエイジ枠不使用
結果:グループリーグ敗退
優勝:アルゼンチン2012年 ロンドン五輪
→徳永悠平、吉田麻也
結果:4位
優勝:メキシコ2016年 リオ五輪
https://www.54-luck.com/f-spo/view/720
→塩谷司、藤春廣輝、興梠慎三
結果:グループリーグ敗退
優勝:ブラジル
プロ選手導入以前の五輪(オリンピック)サッカーは共産圏が無双
FIFAとしては、オリンピックにプロのサッカー選手を参加させるのは何のメリットもないのに、
なぜ条件付きでオリンピックのサッカー競技でプロ選手の導入が認められるのかというと、
サッカーを軸とした政治的な争いもあったのでは?と思われます。
プロのサッカー選手が出場できるようになる前に行われたオリンピックでの、
歴代の金メダル受賞国(チーム)は、
開催年 | 開催都市 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル | 4位 |
1988年 | ソウル | ソビエト連邦 | ブラジル | 西ドイツ | イタリア |
1984年 | ロサンゼルス | フランス | ブラジル | ユーゴスラビア | イタリア |
1980年 | モスクワ | チェコスロバキア | 東ドイツ | ソビエト連邦 | ユーゴスラビア |
1976年 | モントリオール | 東ドイツ | ポーランド | ソビエト連邦 | ブラジル |
1972年 | ミュンヘン | ポーランド | ハンガリー | ソビエト連邦・東ドイツ | |
1968年 | メキシコ | ハンガリー | ブルガリア | 日本 | メキシコ |
1964年 | 東京 | ハンガリー | チェコスロバキア | 東西統一ドイツ 東西統一ドイツ | アラブ連合共和国 |
1960年 | ローマ | ユーゴスラビア | デンマーク | ハンガリー | イタリア |
といった感じで、共産圏(ソ連や東欧諸国)が台頭していることがわかります。
1991年にソ連が解体するまでは資本主義国と共産主義国で「冷戦」と呼ばれる政治闘争もあり、
社会主義国家のサッカークラブは「公営企業」だったことから実質的なプロの選手も「公務員」という扱いとなりオリンピックに出場可能でした。
「アマチュア」ではありながらワールドカップに出場する選手と本物のアマチュアが試合をするという、
実力差の開いた状態が続いていたこともFIFAがオリンピックにプロ選手の出場を認めた一因ではないかと言われています。
東京五輪2020(オリンピック)サッカーで注目の日本人選手
名前 | 生年月日 | 年齢 | 所属チーム | A代表デビュー戦 |
堂安律 | 1998年6月16日 | 22 | PSVアイントホーフェン | 2018年9月11日 |
伊藤達哉 | 1997年6月26日 | 23 | ハンブルガーSV | – |
久保建英 | 2001年6月4日 | 19 | マジョルカ | 2019年6月9日 |
三好康児 | 1997年3月26日 | 23 | ロイヤル・アントワープFC | 2019年6月17日 |
安部裕葵 | 1999年1月28日 | 21 | バルセロナB | 2019年6月18日 |
冨安健洋 | 1998年11月5日 | 21 | ボローニャ | 2019年10月12日 |
板倉滉 | 1997年1月27日 | 23 | FCフローニンゲン | 2019年9月5日 |
中山雄太 | 1997年2月16日 | 23 | PECズヴォレ | 2019年6月18日 |
ここにあげた8人の選手は東京五輪2020に選出されることはほぼ間違いないと思われます。
オリンピックサッカーでの登録人数はワールドカップなどFIFA公式の試合での23人ではなく18人となっていて、そのうち2人がゴールキーパーとなります。
残りの8人の枠をかけて熾烈な代表争いが繰り広げられそうです。