1991年8月のアメリカ・ペンシルベニア州にある小さな町「ウィルクス・バール」で毒物による不可解な事故が発生。
電気工事士をしていたロバート・カーリーがある日突然、強烈な手足の痛みに襲われ病院に行き診察を受けるも、当初は原因が分かりませんでした。
ペンシルベニアの毒物は何?
ロバート・カーリーの症状は一向に収まる気配が見えなかったことから大きな病院「ハーシーメディカルセンター」に移って検査を受ることに。
すると担当医が枕元で『抜け毛』を発見し何かしらの有毒な金属によって体を侵され毛が抜けているのではという仮説を立てます。
すぐさま毒物検査を行うと体内から大量の「タリウム」という強い毒性を持ち、かつては殺鼠剤にも使用されていた金属が確認されました。
ちなみに、タリウムはスチールよりも硬く、耐食性に優れる性質を持っていることから電化製品や医療機器によく使用される素材で、ゴールドよりも希少性が高い金属の一つ。
ただその危険性の高さから、一般的には販売されることのない毒物に指定されていました。
ペンシルベニアの毒物の原因は殺人事件?
ロバート・カーリーは一度は回復の兆しを見せたの容態は急変し帰らぬ人となりました。
『タリウム』の毒がすでに脳をおかしておりう手遅れといった状態だったことから
最期は「苦しみ続けるくらいなら…」と妻のジョアンが夫の生命維持装置を外す決断を下しています。
そのロバート・カーリーの死から数日後には妻のジョアンは医師に『自分と娘もタリウムについて調べてほしい』と検査を依頼したところ、
なんと二人からも標準を上回る量のタリウムを検出!
実態は一気に、「ロバート」一家の家族全員の命を狙った殺人事件ではないかという容疑が持ち上がり、警察が直ちに捜査を開始。
すると電気技師をしていたロバート・カーリーが自宅に備えていた実験室にあった赤い水筒からタリウムを検出。
さらにロバート・カーリーの家を捜索すると、赤色の水筒以外にもうひとつ、青い水筒からもタリウムが検出されただけではなく、『タリウム』を含む殺鼠剤も発見
ロバート家にあった赤い水筒にも青い水筒にも触れることが出来たのは、ただひとり、妻「ジョアン」のみで、
警察による事情聴取の結果、ジョアンがロバートにタリウムを飲ませたことが明らかになるのでした。
ジョアンは実はロバートとは2度目の結婚で、前の夫からは100万ドルという多額の事故賠償金を得ていて、
ロバート・カーリーはそのお金で起業したいと考えていたのに対して、ジョアンは遊びに使いたいと夫婦間でたびたび口論になっていました。
タリウムの存在とその毒性を知ったジョアンが欲に駆られてロバートに30万ドルの保険金を掛けて殺害することを思いつき、水筒の中にタリウムを混入したというわけです。
1997年7月ジョアンは刑を言い渡され現在も服役しているいうことです。
ペンシルベニアの毒物殺人事件に関するネットの反応
不可解なのは、妻がなぜ自分たちにもタリウムが検出されないか、病院に依頼したのかですよね。
そんな申し出をしていなければ、完全犯罪が成立していたように思いますが、
もしかしたら夫にタリウムを飲ませたのは良いものの、誤って自分たちも服用してしまったのでは?という不安があったのかもしれませんね。