「塔の上のラプンツェル」では最後にユージーンがラプンツェルの髪を切るシーンがあります
「魔法の力を失わせて、ゴーテルから解放させるため」だとしても、あそこまで髪を短く切る必要はあったんでしょうか?
ラプンツェルの髪を切る理由はなぜ?ユージーンが最後
昔、ラプンツェルの母のふりをしていたゴーテルが見つけてこっそり独り占めしていた魔法の黄金の花には、魔法の歌を歌うと対象の時を戻す効果がありました。
ゴーテルはそれを使って定期的に自分の時を戻して(若返って)いましたが、ある日王国のお妃様が病気になったために国中で病を治す妙薬として魔法の花が捜索され、ゴーテルが隠していた花が発見されてしまいます。
花は王宮へ持って行かれ、それを煎じて飲んだお妃様は無事回復。そしてその時、お妃様のお腹にいた赤ちゃんがラプンツェルです。
お妃様の飲んだ魔法の黄金の花の力は、お腹の中のラプンツェルに移りました。
もともと茶色い髪の王様とお妃様の間に生まれたラプンツェルが金髪なのは、黄金の花の力が髪に宿っているためです。
ゴーテルは最初、魔法が宿った髪の毛だけを切り取って持ち帰るつもりが、髪を切ってしまうと魔法の力がなくなってしまうことを知り、ラプンツェルを攫って高い塔の上で自分の娘として育てます。
ディズニーの他のヴィランズと比べれば、それでも18年もきちんと育ててきただけわりといい人の気がしますが(笑)ゴーテルの目的はあくまで黄金の花の魔法の力であって、ラプンツェル自身には特に愛情はなかったように思います。
言うなれば花を育てるための苗床だから大事にはするけど、という感じでしょうか。
魔法の髪があるからゴーテルはラプンツェルを手放さない、ということは、魔法の髪がない、ただの女の子のラプンツェルであれば、ゴーテルの企みは意味をなさなくなります。
自分は助からないかもしれないけれど、髪を切って魔法の力を失くしてしまえば、少なくともラプンツェルはゴーテルから自由になれる、とユージーンは考えたのではないでしょうか。
だからユージーンは髪を切り、ラプンツェルから魔法の力を失わせ、ゴーテルにかかっていた若返りの魔法を解いたんだと思われます。
ラプンツェルの髪がもうない以上、一旦魔法が解ければゴーテルは老婆に戻るしかなく、それならラプンツェルひとりなら、ゴーテルを突き飛ばすなりなんなりして塔から逃げられますし。
実際は髪を切っても涙にも宿っていたのでハッピーエンドとなりました。
ただ、ユージーンは何もラプンツェルの髪の毛をあんなに根元からザックリ切る必要はあったんでしょうか?
切りさえすれば力がなくなるなら、別に腰のあたりで切ってもよかったんじゃないでしょうか?
あの状況は、ユージーンもラプンツェルも追いつめられています。
ここでうまく立ち回らなければ、自分は死ぬしラプンツェルも死んだ方がマシくらいの目に遭わされる。
自分が死ぬのはまあ仕方ないとして、ラプンツェルをまたゴーテルの手の中に戻すわけにはいかない。
傷の痛みの中で、どうすればラプンツェルだけでも無事にゴーテルから逃げおおせられるか?と考えている最中には、髪の長さなんて考慮していられないのではないでしょうか。
刺された、もう死にそう、でもどうにかあの子だけでも逃がさなきゃ、そうだ魔法が宿っているのが髪なら髪を切れば、というユージーンの起死回生の一発です。
そこで、でも髪は女の命だしあんまり短くしたら可哀想、ある程度の長さを残して…なんてちまちましたこと考えられても、萎えます。
髪は女の命、ですが、それはあくまで心身が健康であればこそ。
体が死にそうなのに髪だけつやつや美しいなんて本末転倒ですし、そもそも今この状況に陥っている原因がその髪。
であれば、ラプンツェルとユージーンにとってあの髪は『命』どころか『そのせいで命を危うくするもの』です。
逆に「中途半端に長さを残したらその残った髪に魔法の力が残ってしまうかも」と考えたのかもしれません。
それらのことから、根元からばっさり切り落とした。
切羽詰った状況で、何とかいとしい女性だけは生き延びてほしい、たとえ髪などなくなろうとも君の美しさに代わりはない、というある意味熱烈な告白のようにも捉えられると思います。