螺旋プロジェクトは2013年から始まった文芸競作(リレー)企画
中央公論新社が130周年記念で立ち上げた『小説BOC』で2016年春から2018年夏までの全10号に連続掲載された8組9名の作家陣による競作企画ですが「螺旋プロジェクト」の読む順番は?
螺旋プロジェクト読む順番おすすめは?
小説の螺旋プロジェクトは
(1)「海族」と「山族」、2つの種族の対立構造を描く。
(2)全ての作品に同じ「隠れキャラクター」を登場させる。
(3)任意で登場させられる共通アイテムが複数ある。
というルールに則って、原始から未来までの日本を舞台に8組9名の作家が物語を紡いだ競作企画。
読む順番のおすすめは、やはり時系列に沿って読んでいくのが良いでしょう。
■原始『ウナノハテノガタ』
担当作家:大森兄弟
あらすじ:ヒトが精霊とともに生きた太古の時代で、「海」の人々イソベリと「山」の人々ヤマノベが出会い、後の世の対立の起点となる衝突が起こる。
■古代『月人壮士』
担当作家:澤田瞳子
あらすじ:東大寺大仏を建立し、仏教政策を推進した聖武天皇の真実の姿に迫る。懊悩の多くは、海族である藤原氏と、山族である天皇家の対立から生まれていた!?
■中世・近世『もののふの国』
担当作家:天野純希
あらすじ:源氏と平家、信長と光秀など歴史に残る武士の戦いは、「海」と「山」の対立だった可能性を、1000年近くもの長い時間軸をかけて紡ぎ出す。
■明治『蒼色の大地』
担当作家:薬丸岳
あらすじ:幼なじみだった「海」と「山」の少年少女が、近代化のきしみのなかで、帝国海軍と海賊の戦いの渦に巻き込まれてゆく。
■昭和前期『コイコワレ』
担当作家:乾ルカ
あらすじ:戦時下ならではのムードの元、疎開っ子・清子と山寺の子・リツ、2人の少女は出会った瞬間から互いに敵意を抱く。やがて物語は「あの時」へ。
■昭和後期『シーソーモンスター』
担当作家:伊坂幸太郎
あらすじ:バブル華やかなりし時代を舞台に、平和ボケという言葉が当たり前になった時代の日本で描いたのは、嫁と姑のバトルだった。ところが、ある段階で物語がぐるっと転変し……。
■平成『死にがいを求めて生きているの』
担当作家:朝井リョウ
あらすじ:植物状態の青年と彼の傍を離れない男、小学校からの幼なじみである2人の関係を追い掛ける。根幹にある謎は─水と油のように思える2人が、何故こんなにも仲がいいのか?
■近未来『スピンモンスター』
担当作家:伊坂幸太郎
あらすじ:21世紀半ば、機密事項は手紙でのやりとりが主流となっていた。ある国家的陰謀をめぐり「海」と「山」がしのぎを削る。〈昭和後期〉の『シーソーモンスター』との呼応関係も読みどころのひとつ。
■未来『天使も怪物も眠る夜』
担当作家:吉田篤弘
あらすじ:西暦2095年、〈壁〉によって分断された東京は不眠に悩まされていた。睡眠薬の開発をめぐる攻防は「眠り姫」を探す旅となり、やがて過去の全ての対立を包み込むようなビジョンが到来する。
「螺旋プロジェクト」時代順に読んでいく他、既に刊行されている朝井リョウの『死にがいを求めて生きているの』(平成)と、伊坂幸太郎『シーソーモンスター』(昭和後期、近未来の2編収録)は時代が隣り合っているため、「螺旋プロジェクト」ならではの作品間リンクを見つけやすくなるようです。