電子レンジで氷を温めても溶けない理由はどうして?
自由研究のテーマで電子レンジで氷を加熱しても溶けない理由を説明するにはどうすればいいでしょうか?
電子レンジで氷が溶けない理由は?実験・自由研究
見えない電波による振動が熱を生み出す
電子レンジの電波は、マグネトロンの先端のアンテナから放出されます。この電波の周波数2,450メガヘルツ(MHz)。1秒間に24億5千万回も振動(プラス、マイナスの極が交替)する性質があります。電波は食品に含まれている水の分子など振動させて食品全体をあたためます。
こうして電波のエネルギーは効率よく熱エネルギーにかわります。
※側面や底面から電波が放出されている
ものもあります電波の性質
器を温めずに、中の食品だけを加熱することができるのは、電波の性質を上手に利用 しているからです。電波は食品や水に吸収
電波は直進する性質があります。そして、水分を含んだ物質には吸収されて発熱します。電子レンジの加熱はすべてこの性質を利用したものです。電波は陶器やガラスを透過
電波は陶器・ガラスなど水を含まない物質を透過します。電波は金属にあたると反射
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/renji/mechanism.html
電波は金属にあたると反射します。そのため、金属製の容器を用いると容器の中の食品は温まりません。
電子レンジが物を暖めるのは、電子レンジが発するマイクロ波という電波が物体の中の水分子(極性分子)をより大きく振動させるためです。
そのマイクロ波の振動数は特に水分子を振動させやすい値になっているのです。
分子の振動が大きくなるということは温度が上がるということと同じです。温度が上がった水分子の熱が、水以外の分子に伝わり、物全体の温度が上がっていきます。
ところが、氷は水とは違って固体なので分子全体が固く結びついていて振動しやすい振動数が水の場合と違ってくるのです。
ですから水を振動させるマイクロ波を氷に当てても氷の分子は振動を大きくさせないのです。そのため氷の温度は上がらず、溶けないということになります。
マイクロ波で水の分子は振動しても、水の分子がつながった氷は振動しないので、溶けません。
もう少し詳しく説明をすると、電子レンジは水分子の振動に共鳴する波長の電磁波を照射し、水分子を振動させます。
(分子の振動の大きさはおおざっぱに言って温度です。)
水の分子の振動に近い振動周期を持つ物質は水と同じように電磁レンジで加熱されます。
周期が違えば違うほど加熱されにくくなります。
氷や水蒸気も水分子ですが、振動周期が違うので加熱されません。
氷の場合、周りから少しずつ溶けた水が加熱され、その熱で氷が溶けます。
もし、水蒸気が加熱されたら電子レンジの中で蒸発した水蒸気がどこまでも加熱されてしまいます。
冷凍食品も同様だと思います。
食品自体が直接温めるわけではなく、少し溶けた水(や油<多少は加熱される)が加熱され、その熱で食品も温めると考えられます。
また、一気に加熱すると食品の水分以外が加熱される前に水分だけが蒸発してパサパサになるため断続的にあるいは弱めの電磁波を照射する「解凍モード」があるのではないでしょうか?
ただ電子レンジで氷を温めても溶けないのは、氷が全く溶けてなければ、融けにくい、という話です。
少しでも溶けて水になったところがあればそこが加熱されるのでその近くの氷も融けます。
実験でもなかなかうまくいかないようですよ。
つまり、冷凍食品もレンジに入れる前に室温や皿の温度で溶けかけた部分ができるのでレンジで解凍できる、ということです。
まとめ:電子レンジで氷が溶けない理由は?実験・自由研究
電子レンジで氷が溶けない理由は水と氷では性質が違うからです。
電子レンジの原理は、誘電加熱と言われる周波数の高い電波を当る加熱方式です。
この時、誘電率と言う値が高いものほど加熱しやすいのですが、水の比誘電率は約80に対し、氷は3程度です。
(比誘電率とは、真空中や空気の誘電率に対して何倍かと言う値)
したがって、氷は電子レンジではほとんど暖めることが出来ないことになります。
ですから、正式には“溶けない”のではなく、“溶けにくい”“温まりにくい”と言う事になります。
※誘電率・誘電加熱と言う言葉はあまり知られていないので、普通の人に言っても解らないと思います。
“マイクロウエーブ(周波数の高い電波)で水を温める”と言った理解のされ方が一般的です。
ただ、氷を電子レンジにいれる実験をしたところ、実際には氷が普通に溶けてしまうことがありますが、原因はまず容器が電子レンジで加熱されたことが、考えられます。
ターンテーブルも同様に加熱されます。
次の方法で実験をやり直してみてください。
・厚紙又は段ボールで容器を作り、それを冷凍庫にいれ冷やす
・それに氷を乗せチンしてみてください。
■補足
電子レンジはマイクロ波を照射しています。水「H2O」はOに対してHが扇型についていて、O側がマイナスH側がプラスの双極子になっています。
そこにマイクロ波というプラス、マイナスと変わる交番電場が来ると、それに追随するように分子が回ります。
しかし抵抗もありそんなにきちんと全員そろって変化する電場についていけないので、その時に熱を発生します。
この、ゆするというのがどんな振動数でもよいのではなく、電子レンジのマイクロ波は、水に対してのみブランコをこぐように動かせる丁度よい振動数になっているのです。
それに対して氷の結晶の水分子の並びとか水素結合とかが、水のようにある程度自由にふらふら動いている分子とことなるので、電子レンジのマイクロ波ではうまくエネルギーを加えられないのです。