「最後の晩餐」に隠された楽譜とは？
レオナルド・ダ・ヴィンチが「最後の晩餐」の中に、音符を隠し込んだとする説とはどんなものなんでしょうか？なぜ隠した？
最後の晩餐の音符（音階・楽譜）とは？なぜ隠した？レオナルド・ダ・ヴィンチ
レオナルド・ダ・ヴィンチが「最後の晩餐」の中に、音符を隠し込んだとする説は1986年にイタリアのジャズ奏者、ジョバンニ・マリア・パーラ氏によって提唱されました。
パーラ氏によると、この楽譜は、食卓に横に並んだパンを線で結び、これを１番下の線として絵に５線を引く。次に弟子らの手と５線の交わる点、パンの位置に音符を置いて楽譜に見立て、普通の楽譜とは逆に右から弾くと、４０秒間ほどの荘厳なレクイエムに聞こえるという。
この説は、パーラ氏が実際にこの隠された楽譜に沿って演奏したところ、厳粛なrequiem（鎮魂歌）に聞こえたことから提唱されました。またパーラ氏はレオナルドが活躍した15世紀に一般的に使われていたパイプオルガンでの演奏が最も適しているとも。因みに、レオナルドが左利きだったので、楽譜も左から読むそうです。
レオナルド・ダ・ヴィンチは最後の晩餐の音符（音階・楽譜）をなぜ隠した？
なぜ楽譜が隠されていると言われているのか、それはダ・ビンチが画家だけでなく音楽家でもあったからではないでしょうか。
キリストの死を悼むレクイエム
パーラ氏の説によると、隠された楽譜は、キリストの死を悼むレクイエムであると考えられます。この説は、絵の題材である「最後の晩餐」と、レクイエムの悲しみや鎮魂のテーマが一致することから、最も有力な説の一つと考えられています。
キリストの教えを音楽で表現
レオナルド・ダ・ビンチは、音楽の才能にも恵まれた人物でした。彼は、音楽を「神の声」と称し、芸術の最高の表現形式と考えていました。
このようなことから、ダ・ビンチは、キリストの教えを音楽で表現するために、隠された楽譜を残したのではないかという仮説も考えられます。この説によると、隠された楽譜は、キリストの愛や慈悲、人間の救済といったテーマを表現していると考えられます。
絵画と音楽の融合を試みた
レオナルド・ダ・ビンチは、芸術の分野を超えた融合を試みる人物でした。彼は、絵画と音楽の融合にも興味を持っていたと考えられます。
このようなことから、ダ・ビンチは、絵画と音楽の融合を試みるために、隠された楽譜を残したのではないかという仮説も考えられます。この説によると、隠された楽譜は、絵画と音楽の新たな可能性を示すものとして、ダ・ビンチが残したメッセージであると考えられます。
音符（音階・楽譜）が隠された最後の晩餐とは？
「最後の晩餐」は、レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた壁画です。1495年から1498年にかけて、ミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂の壁に描かれました。
絵は、キリスト教の新約聖書のうちマタイによる福音書第26章やヨハネによる福音書第13章等に記されているイエス・キリストと12使徒による最後の晩餐を題材としたものです。
絵は、長さ4.6m、幅8.8mの巨大な壁画で、イエス・キリストと12使徒が食卓を囲んでいる様子が描かれています。キリストは、使徒たちに「あなたがたのうちの一人、わたしと一緒にパンを浸す者が、わたしを裏切る者である」と告げています。
最後の晩餐の音符（音階・楽譜）の場所はにユダ｜レオナルド・ダ・ヴィンチ
「最後の晩餐」の絵全体を見てみると、テーブルの上に置かれている小さなパンが不自然に真っすぐに並んでいるのがわかります。そして、キリストの弟子たちの手の位置に注目してみましょう。
このパンと手の位置を音符に見立てて、五線譜を合わせてみると、実際に演奏できる楽譜のようなものが現れます。この楽譜は右から左に演奏すると、約40秒間の賛美歌が聞こえるそうです。ただし、この説には賛否が分かれており、別の専門家も疑問視しています。しかし、パラ氏は「奏でられた音楽はイエスの情熱そのものだと思います」と説明しています。
楽譜の中で不協和音が聞こえる場所は、実はイエスを裏切ったとされる弟子ユダの位置です。これは単なる偶然ではないようですね。
最後の晩餐に隠された音符（音階・楽譜）の疑問点
「最後の晩餐」に隠された楽譜はパーラ氏の演奏を収録したCDが発売されるなど、徐々に認知度が高まっています。
なお、この説にはいくつかの批判もあります。例えば、絵の損傷によって音符が判別できないのではないか、レオナルドが音楽に精通していたのかといった点です。しかし、パーラ氏は、これらの批判に対して、独自の見解を示しています。
「最後の晩餐」に隠された楽譜が真実かどうかは、今後の研究によって明らかになっていくでしょう。
