最大で955hpaという猛烈な勢いを伴った台風15号が直撃した関東では、
停電や浸水、家屋の倒壊などさまざまな影響をもたらしましたが、被害が連日伝えられているのは千葉県。
特に房総半島にある自治体では鉄塔が倒壊するなどの影響で停電の復旧が大幅に遅れていますが、
千葉県内の多くの山林で放置されている山武杉が千葉停電の遠因になっているのでは?という見方も出てきているようです。
山武杉が千葉停電の原因?山武杉(さんぶすぎ)とは?
山武杉については、wikipedipaにはたった2行の簡単な説明しか掲載されていませんでした。
山武杉(さんぶすぎ)は、千葉県の主に山武地域(他に千葉、印旛、長生、夷隅地域など)が産地の杉。
江戸時代の中ごろより栽培が盛んになり、現在では千葉県の杉林面積の17.8%を占めている。
山武市とは千葉県全体を見たときにちょうど中心あたりに位置する自治体で、
夏には九十九里浜目当てのサーファーで賑わう観光業の他、農林を主産業としています。
建築材として用いられる「杉」には、吉野杉、縄文杉、秋田杉などなどがありますが、
山武杉は色つやや木肌の色がよく高級木材として重宝されているそうです。
山武杉は断熱効果にも優れていて、主に建具材として利用される
「年輪の詰まった大径材」のことを「さんぶすぎ」と呼ぶこともあるほど。
従来から杉は加工がしやすい木材なので住居用建材や曲げ物として私たちにとって身近な存在で、
山武杉は特に材質が良く大木になると銘木扱いされる高級品になるため、
千葉県では山武地方を中心に山武杉を植林していたそうです。
ところが、山武杉を育てるには長い年月が必要になる上に手間もお金もかかります。
戦後の高度成長期には木材の品質よりも「量」方が重視されるようになり、
生育に時間のかかる山武杉は次第に敬遠されるようになったうえに、
放置された山武杉が「溝腐れ病」という病気が蔓延するようになります。
山武杉は病気に弱いという難点を抱えていたため、手入れを怠ってしまうと、
木材として使い物にならなくなってしまうんだとか。
地元では山武杉の再利用を目指した動きが出てきていましたが、
そうした取り組みの中で起きてしまったのが台風15号による自然災害。
ただでさえ手入れを怠って弱ってしまった山林に加えて、
根腐れ病を起こした山武杉が次々と倒木してしまったことで、
道路が寸断されたり電線に引っかかって停電を起こすなどの事態を招きます。
倒木による停電を復旧させるには、単純に倒木を取り除くだけではなく、
電線自体も物理的に修理をしなければいけません。
さらに倒木の処理は高度な技術が求められるため職人の数が限られるうえに、
倒木の発生個所によって行政的な管轄がはっきりと縦割りで区別されてしまうため、
自治体同士でスムーズな連携が取れないことも千葉の大規模停電の原因の一つになってしまいました。
倒木処理についてはこちらのツイッターまとめがわかりやすいです。