高校化学、酸化剤と還元剤の見分け方は?
酸化と還元は必ず同時に起こりますが、酸化剤と還元剤の反応式・覚え方は?
酸化剤と還元剤の見分け方は?反応式・覚え方は?
酸化剤と還元剤の見分け方について、酸化される物質は還元剤、還元される物質は酸化剤です。
もう少し詳しく説明すると、
・酸素原子、Oを受け取っていれば還元剤、失っていれば酸化剤
・水素原子、Hを受け取っていれば酸化剤、失っていれば還元剤
・電子、e-を受け取っていれば酸化剤、失っていれば還元剤
・酸化数が増えていれば還元剤、減っていれば酸化剤
物質中の各元素の酸化数の和は0になります。基本的には単体の時と、過酸化水素水の時を除き、Oの酸化数は-2Hの酸化数は+1です。
基本的には単体の時と、過酸化水素水の時を除き、Oの酸化数は-2Hの酸化数は+1です。
アルカリ金属の+1アルカリ土類金属の+2は絶対だと覚えておきましょう。
そのほかの金属はたいてい+2か+1かその辺の酸化数が多くなります。
有機元素は
(周期表の族番号1桁の番号)-8~(周期表の族番号1桁の番号)までの値をとれます。
とりあえずこれだけでたいていの問題は解けます。
まとめ:酸化剤と還元剤の見分け方は?反応式・覚え方は?
酸化剤:酸化数が減少した原子を含んでいた物質
還元剤:酸化数が増加した原子を含んでいた物質
酸化数というのは「着目する原子が単体での状態からいくつ電子を得たり失ったりしたかを、電子一つを-1として算出したもの」になります。ですから、酸化数の計算の初歩の初歩に帰れば、酸化数を求める元素を含む物質が【イオン結合性のもの】か【共有結合性のもの】かでプロセスがちょっと違ってきます。
ただし、こんなこといちいちやってたら時間が無いので、時間節約のために、あらかじめ電気陰性度の大小から、電子を奪うか奪われるかの勝負の結果が見えてる元素から先に酸化数を決めちゃってしまいます。
学校の授業では酸化剤と還元剤について「覚えろ」と言われる所以はここにあります。
【イオン結合性のもの】金属と非金属のペア
①イオンに分ける
②酸化数はイオンの価数と一致
③多原子イオンの中に求めたい元素がある場合は~決め方~にならって求める
例)2Na + Cl? → 2NaCl
塩化ナトリウムはNa?とCl?のイオンで出来ているのでNaの酸化数は+1、Clの酸化数は-1と分かります。これはイオンが多原子イオン(SO?2?やCO?2?など)でも同じ(ただし多原子イオンは酸化数の総和)です。
【共有結合性のもの】非金属同士のペア
①電子式を考える
②電気陰性度が大きいものが電子を奪う
例)C + O? → CO?
共有電子対のみを書くとすると、O::C::O
電気陰性度はC<Oなので、どちらに引き寄せられるかを(で切れ目を入れると
O::)C(::O
Cの4つあった不対電子が二つのOに均等に(O同士で電気陰性度は互角だから)ぶん取られますね。よってCの酸化数は+4、Oの酸化数はともに-2となります。
■酸化剤と還元剤の見分け方
①(原子が一種類のとき) 単体は「0」
↓単原子イオンは「その価数」
↓
②(原子が二種以上の時) ”総和ルール”
↓化合物全体では「0」
↓多原子イオンでは「その価数」
↓
③勝手に勝敗が推測できる元素
*酸素「-2」
*水素「+1」
1族(H除く)「+1」
2族「+2」
(最悪、使うとしたら)17族「-1」
この*を付けた酸素・水素は例外として-2,+1の酸化数を取らない場合があります
*酸素
・より電気陰性度が大きいフッ素とのペア→Fに電子を奪われる
┗例)二フッ化酸素、OF?
共有電子対のみ書くと、F:O:F
Fは原子状態ではF・なので、
F:)O(:F
となると、酸素は2つ電子を奪われたことになり、酸化数が+2となる
・ペルオキシド(-O-O-の形)→O同士が互角の為引き分け。
┗例)H?O?
共有電子対のみ書くとH:O:O:H
H側の共有電子対は引き寄せるが、O同士では引き分け。
切れ目はH(:O・/・O:)H
よって酸素が奪った電子は1つずつなので、酸化数は-1
*水素
・金属とのペア(水素化合物)では金属に電子を押し付けられ「-1」
1~3までは上記の決め方で大丈夫なんですが、有機化合物のシュウ酸及びエタノールの炭素の酸化数は、初心に帰って電子式(構造式)から電気陰性度を使って求めるしかありません。
ひとまず1~3までの求め方は
1.
硫化鉄(Ⅲ)→イオン結合性のもの
→イオンに分ける
→Fe3?とS2?
→単原子イオンになってる原子の酸化数はイオンの価数と一致する、ので
→酸化数は-2
2.
S?→これは硫黄単体(斜方硫黄ないし単斜硫黄)
→単体は酸化数0(定義)
3.
亜硫酸ナトリウム→イオン結合性のもの
→イオンに分ける
→Na?とSO?2?
→多原子イオンでは各原子の酸化数の和がイオンの価数になる
→~決め方~に倣って、(Sの酸化数)+(Oの酸化数)×3=-2
⇔(Sの酸化数)+(-2)×3=-2
⇔(Sの酸化数)=+4