「酸性」「塩基性」「中性」の見分け方は?
水溶液の問題で酸性、中性、塩基性どのように区別すると良いんでしょうか?覚え方は?
「酸性」「塩基性」「中性」の見分け方・覚え方は?
まず、酸性・塩基性・中性を判断するには、電離式という式を使います。電離式は元素や化合物が水溶液中でどのようにイオンに分解するかを表す式です。
例えば、水素イオン(H^+)が右辺に存在する場合、それは「酸性」を示します。一方、水酸化物イオン(OH^-)が右辺に存在する場合は「塩基性」を示し、どちらも存在しなければ「中性」となります。
具体的な例を使って説明しましょう:
HCl(塩酸)の場合:
HCl → H^+ + Cl^- ・・・右辺にH^+が存在するため、これは「酸性」です。
NaOH(水酸化ナトリウム)の場合:
NaOH → Na^+ + OH^- ・・・右辺にOH^-が存在するため、これは「塩基性」です。
NaCl(塩化ナトリウム)の場合:
NaCl → Na^+ + Cl^- ・・・右辺にH^+もOH^-も存在しないため、「中性」です。
また、強酸と強塩基、弱酸と強塩基の組み合わせによっても液性が変わります。
・強酸 + 強塩基 → 塩:塩の水溶液は「中性」です。
・強酸 + 弱塩基 → 塩:塩の水溶液は「酸性」です。
・弱酸 + 強塩基 → 塩:塩の水溶液は「塩基性」です。
ただし、弱酸 + 弱塩基の場合は、生成する塩によって液性が異なりますが、小学生の範囲では詳細な考え方は必要ありません。
例を挙げると、KNO3(硝酸カリウム)は硝酸(強酸)と水酸化カリウム(強塩基)の中和でできる塩です。そのため、KNO3の水溶液は「中性」です。
NH4Cl(塩化アンモニウム)は塩酸(強酸)とアンモニア(弱塩基)の中和でできる塩です。したがって、NH4Clの水溶液は「酸性」です。
CH3COONa(酢酸ナトリウム)は酢酸(弱酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)の中和でできる塩です。したがって、CH3COONaの水溶液は「塩基性」です。
ただし、NaHSO4(硫酸ナトリウム)やNaHCO3(重炭酸ナトリウム)は例外的な存在で、電離した場合に酸性となりますが、中学の範囲では塩基性として学びます。
結論として、電離式を使って元素や化合物がどのようにイオンに分解するかを見ることで、「酸性」「塩基性」「中性」を判断できます。
「酸性」「塩基性」「中性」の見分け方|電離式
電離式を書いてみて
水素イオンが右辺に存在すれば酸性
水酸化物イオンが右辺に存在すれば塩基性
存在しなければ中性です。
HCl→ H(+)+Cl(-) 酸性
NaOH→Na(+)+OH(-) 塩基性
NaCl→Na(+)+Cl(-) 中性
強酸と強塩基の塩なら中性
強酸と弱塩基なら酸性
弱酸と強塩基なら塩基性
■例
NaOH+CO2→NaHCO3
NaHCO3+H2O→Na(+)+H2CO3+OH(-)
強酸
HCl、H2SO4、HNO3、HBr、HI 、etc…
強塩基
NaOH、KOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2、etc…
弱酸
CO2、CH3COOH、 etc…
弱塩基
NH3、Mg(OH)2、etc…
強酸+強塩基→塩…塩の水溶液は中性
強酸+弱塩基→塩…塩の水溶液は酸性
弱酸+強塩基→塩…塩の水溶液は塩基性
弱酸+弱塩基に関しては生成する塩によって液性が異なるので基本的に高校化学では問われません。
例を5つ上げておきます。
(1)KNO3
KNO3は硝酸と水酸化カリウムの中和でできる塩ですよね。
HNO3+KOH→KNO3+H2O
硝酸は強酸、水酸化カリウムは強塩基なのでKNO3の液性は中性です。
(2)NH4Cl
NH4Clは塩酸とアンモニアの中和でできる塩です。
HCl+NH3→NH4Cl
塩酸は強酸、アンモニアは弱塩基なので
NH4Clの液性は酸性です。
(3)CH3COONa
Ch3COONaは酢酸と水酸化ナトリウムの中和でできる塩です。
CH3COOH+NaOH→CH3COONa+H2O
酢酸は弱酸、水酸化ナトリウムは強塩基なので
CH3COONaの液性は塩基性です。
(4)NaHSO4
NaHSO4は強酸である硫酸と強塩基である水酸化ナトリウムの
中和でできる塩だから液性は中性だと思いますが電離したときを考えると
NaHSO4→Na+ + HSO4-
HSO4-→H+ + SO4^2-
と水素イオンができるので液性は酸性です。
(5)NaHCO3
NaHSO4と同じ考え方だと液性は酸性だと思いますが、
中学の理科で習ったとおり液性は塩基性です。
まとめ:「酸性」「塩基性」「中性」の見分け方・覚え方は?
酸性とは、水に溶けると水素イオン(H+)を放出する物質です。酸性の物質は、酸っぱい味をします。例えば、レモン汁や酢は酸性です。
塩基性とは、水に溶けると水酸化物イオン(OH-)を放出する物質です。塩基性の物質は、苦い味をします。例えば、石鹸水やアンモニア水は塩基性です。
中性とは、水に溶けても水素イオンや水酸化物イオンを放出さない物質です。水は中性です。
酸性、塩基性、中性の見分け方は、リトマス紙やフェノールフタレインなどの試験紙を使う方法があります。リトマス紙は、酸性になると赤色に、塩基性になると青色に変色します。フェノールフタレインは、酸性になると無色に、塩基性になると赤色に変色します。
また、酸性、塩基性、中性の見分け方は、味覚で確認することもできます。ただし、酸性や塩基性の物質によっては、危険な場合もあるので、味覚で確認するときは注意が必要です。