サウジアラビアでも最大規模となる石油施設が2か所攻撃され、
報道によると原油生産の約50%が止まったとされています。
日本と言えば原油の大半を輸入に頼り、そのうちの約88%が中東の産油国頼み。
中東の中でもサウジアラビアからの原油輸入が突出して多く
日本が必要とする原油の約4割を輸入していますからサウジ攻撃による株価・ガソリン価格の影響が懸念されます。
サウジ攻撃はどこで?株価・ガソリン価格は?急騰?急落?
サウジアラビアおよび世界各国の発表によると、ペルシャ湾に近い東部アブカイクと
クライス(Khurais)にある2か所の石油関連施設が攻撃を受けて原油生産がストップ。
現時点では再開のめどが立たないほど施設が破壊されているらしく、
サウジアラビアの国営石油会社「サウジ・アラムコの発表によると、
日量570万バレル分に当たる生産が止まったとされています。
遠い外国で起きた事件とはいえ原油の輸入の約4割をサウジアラビアに依存する日本にとっては、
サウジ攻撃が株価・ガソリン価格には間違いなく影響を及ぼすと思われ、
実際に原油先物価格はサウジ攻撃が報道されるや否や2019年でおそらく年初来の大幅な値上げ・急騰を記録しています。
ただ、私たち一般の消費者にサウジ攻撃による株価・ガソリン価格はいつごろ現れるのかというと、
おそらくですが半年くらいは少なくとも猶予があると思われます。
日本ではもともと、
- 国家備蓄
- 民間備蓄
- 産油国共同備蓄
という3つの拠点(やり方)で石油の備蓄を常備させています。
国家備蓄では、国家石油備蓄基地(全国10ヵ所)と民間石油会社等から借上げたタンクに約4,954万klの原油および石油製品を貯蔵、
民間備蓄は、備蓄義務のある民間石油会社等が約2,983万klの原油および石油製品を貯蔵しています。
さらに産油国共同備蓄というのも合わせると、約8,104万klの石油を常備している状態で、
「備蓄日数」を日本の1日当たりの石油消費量から逆算すると約208日分(2017(平成29)年3月末現在)となります。
2018年に発表されたデータによると1日あたりの石油の消費量は
日本は世界で4位となる398.8万。
これは東京ドーム(容積:124万m3)の約3杯分に相当する量を
1日で消費してしまうほどではあるものの、それが200日分以上も備蓄されているので、
サウジ攻撃が直ちに株価の急落やガソリン価格の急騰といった影響につながることはないと思われます。
ちなみに、1日あたりの石油の消費量の多い国は、
下記のようになっています。
- 1 アメリカ 1988万/日
- 2 中国 1279.9万/日
- 3 インド 469.0万/日
- 4 日本 398.8万/日
- 5 サウジアラビア 391.8万/日
- 6 ロシア 322.4万/日
- 7 ブラジル 301.7万/日
- 8 韓国 279.6万/日
- 9 ドイツ 244.7万/日
- 10 カナダ 242.8万/日
日本は確かに世界4位の消費量を誇るものの、
アメリカや中国に比べると半分にもみたいないんですよね。
イエメンのドローンがなぜサウジ攻撃?
今回のサウジ攻撃はイエメンの反政府武装組織フーシ派(Huthi)が声明を発表しているそうです。
イエメンと言えば、サウジアラビア主導での軍事介入をしているイエメン内戦の真っ最中。
サウジアラビアはアメリカ政府の後ろ盾をもとにイエメンのフーシ派に対して、長期にわたる空爆作戦を継続していて、
イエメンに睨まれてもおかしくはない状況となっています。
サウジアラビアは過去にもイエメンからドローンとみられる無人機で攻撃を受けていたようですが、
過去のドローン攻撃の成果は限定的だったのに対して、今回はサウジアラビアの原油生産能力に大打撃を与える戦果となりました。
しかもドローンの攻撃距離はこれまでよりもずっと長くなったうえに、
サウジ攻撃の精度も格段に上がっているようで、フーシ派にはアメリカと敵対をしている
イランが協力をしているのでは?という観測もあるようですが、
イラン外務省は「全く根拠がない」とサウジ攻撃への関与否定しています。