2019年10月スタートの朝ドラ「スカーレット」では
後に陶芸家として活躍することになる川原喜美(戸田恵梨香)が主人公となっています。
川原喜美は高校を卒業すると滋賀県信楽町に就職をすることになりますが、
就職は丸熊陶業という川原喜美の友達の熊谷照子(大島優子)の会社という設定になっています。
スカーレット丸熊陶業の実在モデルは近江化学陶器?
朝ドラ「スカーレット」に搭乗する丸熊陶業は、
滋賀県信楽町で最大の窯元とされていますが、モデルとなった会社は実在するのかというと、
近江化学陶器ではないかと考えられます。
「スカーレット」には原作はなく実在のモデルはいないということですが、
川原喜美は神山清子という実在する人物の半生をモチーフにしていると言われていて、
神山清子が最初に就職をしたのが近江化学陶器だからです。
近江化学陶器の創業は明治7年(1874年)2月と明治維新まっただ中で、
日本近代史でいえばちょうど、富国強兵の名のもとに殖産興業に励む黎明期に当たります。
近江化学陶器は現在も存続している会社で信楽焼のタイルが主力商品となっているものの、
沿革をたどると「信楽鍋要」「信楽糸取鍋合名会社」といった社名を名乗っていた時期があるように、
陶器製の「糸取鍋」などが主力事業だったようです。
その後、昭和16年2月に「近江化学陶器」有限会社として
糸取鍋から理化学陶器へと転業し現在に至ります。
スカーレットでもおそらくは川原喜美が信楽焼きのタイルを手掛けることになると思われますが、
近江化学陶器がタイルの生産を開始するのは昭和30年代の中期の頃の話。
戦時中は陶器製の爆弾や地雷といった軍需品も製造していたり、
電力不足を補うための陶器製のガスコンロなども製造。
戦後は陶器製の火鉢需要拡大に乗って売り上げを伸ばすものの、
次第に電化製品にシェアを奪われるようになった結果、
植木鉢やタイルといった製品を扱うようになります。
丸熊陶業(近江化学陶器)とジョージ富士川(岡本太郎)の関係も実在モデル?
スカーレットには主要キャストの一人にジョージ富士川(西川貴教)という人物がいます。
世界的に有名な芸術家(アーティスト)という設定になっていますが、
丸熊陶業もモデルが近江化学陶器だったとするとジョージ富士川は岡本太郎ではないか?と考えられます。
川原喜美のモデルとなった神山清子と岡本太郎には接点はなかったようですが、
岡本太郎は江化学陶器と深いかかわりを持つようになります。
岡本太郎が近江化学陶器の製造するタイルに惚れ込んで、
1960年ごろから信楽の「近江化学陶器」で作品作りをしています。
岡本太郎の代名詞の一つでもある大阪万博の「太陽の塔」には、
背面レリーフに「黒い太陽」というのも作られていますが、
江化学陶器で作られたと言われています。
時代背景的には岡本太郎と神山清子は同時期に近江化学陶器に在籍していたと考えられるので、
記録には残っていないものの、何らかの接点はあったかもしれません。