剣璽等承継の儀から始まって饗宴の儀で締めくくりとなる一連の「即位の礼」儀式のうち、
最も重要な儀式とされるのが即位礼正殿の儀(即位式)で、皇居・宮殿の正殿とされる「松の間」で行われます。
即位礼正殿の儀(即位式)の様子はテレビ中継が予定されていますし、
令和元年の5月1日に行われた剣璽等承継の儀・即位後朝見の儀と同じく、
首相官邸youtubeチャンネルやニコニコ動画、abemaTVでもネット配信でも生放送されると思いますが、
即位礼正殿の儀(即位式)で新しく即位する天皇陛下がお召しになる衣装(装束)は特別なモノなので要注目です!
即位礼正殿の儀の天皇陛下衣装(装束)の意味・由来は?
即位礼正殿の儀(即位式)とは、新しい天皇が即位したことを国内だけではなく国外に対しても宣言する重要な儀式なので、
すでに行われた剣璽等承継の儀・即位後朝見の儀とは違い、国外から続々と来賓を招きます。
多くの来賓が見守る中で、約30分ほどの一連の行事が行われるわけですが、
即位礼正殿の儀(即位式)で新しく即位する天皇がお召しになる衣装(装束)を
黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)と言います。
ごく簡単に言うと「黄櫨染(こうろぜん)」という特別な方法で染色された衣装のことで、
平安時代以降、重要な儀式の時において天皇陛下のみ許された束帯です。
黄櫨染御袍の他にも、
- 御神事の為の御祭服
- 帛御袍
- 御引直衣
- 御直衣
- 御小直衣
といった6種類の衣装(装束)の中で最も格式が高いとされ、
黄色に蘇芳(すおう)という赤の色を加えて染色されたと言い伝えられて
桐、竹、鳳凰、麒麟の文様が施されています。
即位礼正殿の儀(即位式)の黄櫨染御袍の色は何色?
黄櫨染の染色には「真昼の太陽」を象徴する意味があり、
江戸時代に琉球に持ち込まれた櫨はウルシ科の落葉樹が、
蘇芳はインドマレーシア原産の小高木、染料ブラジリンが
使われていると言われています。
時代や着用者の年齢等によって「黄櫨染(こうろぜん)」には、
かなり幅のある色であったと考えられていますが、
着用できる人(身分、位)が限られる衣装(装束)の色のことを「禁色(きんじき)」とよびます。
日本で禁色の考え方が導入されたのは聖徳太子が『冠位十二階』で
位によって着る衣装の色を決めて天皇のみが紫の衣装を許されるとしたこと。
なぜ紫が天皇だけの色になったのかというと中国との交易を通じて、
ヨーロッパなどの王や王女は紫を着用するのを真似たと言われています。
聖徳太子の死後もしばらくは冠位十二階に従って紫が天皇の衣装の色とされていましたが、
820年(平安時代)に嵯峨天皇の命により紫が廃止されて黄櫨染が使うこととされました。
現代でもその風習が残されて1000年以上が経過しても、
最も厳格な絶対禁色として黄櫨染が天皇の衣装(装束)のみに使われています。