日本の警察組織、特に警視庁における階級と役割について
キャリアとノンキャリアの違い、本庁と所轄の違い、警察庁と警視庁の違い、捜査一課と所轄の関係について詳しく解説しています。
警視庁と所轄の違いは?
警視庁と所轄の違いは?
警視庁と所轄の違い
- 「警視庁」は、東京都全域を管轄する警察組織です。 他の都道府県でいう「県警」に相当しますが、日本の首都である東京の警察組織は、規模や重要性が大きく別格扱いとなっています。
- 一方、「所轄」は、警視庁が管轄する東京都内の各警察署を指す言葉です。 つまり、警視庁は東京都全体を統括する「本庁」であり、個々の警察署を「所轄」と呼ぶ言い方は、警視庁内のみで使われる表現です。 他の都道府県では、本部を指す場合は単に「本部」という言葉を使うことが多いです。
- ドラマなどで「本庁」の刑事が偉そうに「所轄」の刑事を扱う場面がありますが、これはあくまでもフィクションです。 現実には、警視庁と所轄の警察署は協力関係にあり、事件解決のため共に活動しています。
階級と権限
- 警視庁と所轄の警察署では、所属する警察官の階級にも違いがあります。 一般的に、警視庁にはキャリアと呼ばれるエリート警察官が多く、所轄の警察署にはノンキャリアの警察官が多いです。
- キャリア組は、国家公務員試験に合格後、警察庁に採用され、警部補からスタートします。 その後、警視庁や警察庁といった「本庁」勤務と、所轄の警察署勤務を経験しながら昇進していきます。
- ノンキャリア組は、各都道府県の警察官採用試験に合格後、巡査からスタートし、昇任試験などを経て警部、警視と昇進していきます。
- ドラマ「踊る大捜査線」では、警視庁捜査一課の管理官である室井慎次(キャリア)が、湾岸警察署の署長である神田総一朗(ノンキャリア)よりも偉そうに描かれていますが、実際には、署長の方が管理官よりも職責は上です。
事件捜査における役割分担
- 警視庁と所轄の警察署は、事件捜査においてもそれぞれ異なる役割を担っています。
- 所轄の警察署は、管轄地域内の事件を担当し、軽犯罪から殺人などの凶悪犯罪まで幅広く対応します。
- 警視庁は、重要事件や広域事件などを担当し、所轄の警察署では対応が難しい事件を専門に扱います。
- 重大な事件が発生した場合、警視庁と所轄の警察署は協力して捜査にあたります。
- 例えば、殺人事件が発生した場合、まず所轄の警察署が初動捜査を行い、状況に応じて警視庁の捜査一課が捜査を引き継ぎます。 この際、所轄の警察署は、地域に関する情報提供などを通して捜査一課をサポートします。
警視庁・捜査一課長と所轄の署長どっち偉い?
警視庁捜査一課長と所轄署長どっちが偉い?
結論から言うと、階級は同じ警視ですが、職責としては所轄の署長の方が上になります。
まず、日本の警察組織は、大きく分けて「キャリア」と「ノンキャリア」の2種類の人事制度で構成されています。 キャリア組は、国家公務員試験に合格し、警察庁に採用された警察官を指します。 一方、ノンキャリア組は、各都道府県の警察採用試験に合格し、警察学校を卒業した警察官を指します。
キャリア組は、警察官としてのスタート地点が警部補と、ノンキャリア組よりも高いため、出世スピードが全く違います。 キャリア組は、警察署や警察本部で勤務した後、警察庁に出向し、警察行政の企画立案や、国際的な警察活動などに従事します。 一方、ノンキャリア組は、警察署での勤務が中心となり、交番勤務や刑事課、生活安全課などの部署で、地域住民の安全を守るための業務に従事します。
警視庁は、東京都を管轄する警察組織であり、他の都道府県の警察本部と比べて規模が大きく、扱う事件も多岐にわたります。 警視庁の組織は、本庁と所轄に分けられます。 本庁は、警視庁の司令塔となる組織であり、警視総監をトップに、警視監、警視長、警視正などの階級の警察官が所属しています。 所轄は、警視庁の末端組織であり、各区市町村に設置された警察署のことです。
警視庁捜査一課は、警視庁刑事部に所属する部署の一つであり、殺人、強盗、誘拐などの凶悪犯罪を担当しています。 警視庁捜査一課長は、警視庁捜査一課の責任者であり、階級は警視正です。 所轄の署長は、警察署の責任者であり、階級は大規模署の場合は警視正、それ以外の署の場合は警視です。
つまり、警視庁捜査一課長と所轄署長では、階級は同じ警視ですが、警視庁捜査一課長は警視庁本部の管理官であり、所轄署長は現場の指揮官であるため、職責としては所轄署長の方が上になります。
ただし、キャリア組はノンキャリア組よりも出世が早いため、将来的には警視庁捜査一課長を務めた後に、警視庁の幹部や警察庁の幹部になるなど、より高い役職に就く可能性があります。 一方、ノンキャリア組が警視正以上の階級に昇任することは非常に難しく、警視が事実上の最高位となっています。
刑事ドラマでは、しばしば本庁のキャリア組と所轄のノンキャリア組の対立が描かれます。 しかし、現実には、キャリア組とノンキャリア組は協力して事件解決にあたっています。 本庁と所轄は、それぞれに役割分担があり、お互いに協力し合うことが重要なのです。
警視庁と所轄|日本の警察組織について
日本の警察組織は、大きく分けて警察庁と都道府県警察から成り立っています。警察庁は、全国の警察を統括する国の機関であり、警視庁を含む都道府県警察を指揮監督する立場です。 一方、都道府県警察は、各都道府県の公安委員会の管理の下、地域の実情に応じて警察活動を行います。
階級制度
警察官には、警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長、巡査の9つの階級があります。 この階級制度は、警察法第62条によって規定されています。 警視総監が最も高い階級で、巡査が最も低い階級です。
それぞれの階級に就くことができる役職は、以下の通りです。
- 警視総監: 警視庁のトップ
- 警視監: 警察庁の次長、局長、官房長、警視庁の副総監など
- 警視長: 警視庁の部長、警察本部の本部長、警察学校の校長など
- 警視正: 警察本部の部長、参事官、大規模警察署の署長など
- 警視: 警察署の署長、副所長、課長など
- 警部: 警察本部の課長代理、警察署の課長など
- 警部補: 警察署の係長など
- 巡査部長: 巡査の監督、指導、警部補の補佐など
- 巡査: 交番勤務など
キャリアとノンキャリア
警察官の人事制度には、キャリアとノンキャリアの2つの区分が存在します。
キャリア組は、大学卒業後に国家公務員総合職試験(旧国家公務員Ⅰ種試験)に合格し、警察庁に入庁した警察官を指します。 キャリア組は、警察大学校で研修を受けた後、警部補からスタートし、エリートコースを歩みます。 一方、ノンキャリア組は、各都道府県の警察官採用試験に合格し、警察学校を卒業した警察官を指します。 ノンキャリア組は、巡査からスタートし、昇任試験などを経て昇進していきます。
キャリア組は、出世が早く、若いうちから重要なポストに就くことが多いです。 一方、ノンキャリア組は、現場経験を積んだ上で昇進していくことが一般的です。
警視庁と所轄
警視庁は、東京都全域を管轄する警察組織です。 日本の首都である東京の治安維持を担うため、他の道府県警察よりも規模が大きく、多くの警察官が所属しています。
所轄とは、警視庁が管轄する東京都内の各警察署を指す言葉です。 つまり、警視庁は東京都全体を統括する「本庁」であり、個々の警察署を「所轄」と呼ぶ言い方は、警視庁内のみで使われる表現です。
警視庁と所轄の警察署では、所属する警察官の階級にも違いがあります。 一般的に、警視庁にはキャリアと呼ばれるエリート警察官が多く、所轄の警察署にはノンキャリアの警察官が多いです。
捜査一課長と所轄の署長
警視庁捜査一課長と所轄の署長は、どちらも警察組織において重要な役割を担っていますが、その立場や権限には違いがあります。
警視庁捜査一課長は、警視庁捜査一課の責任者であり、殺人、強盗、誘拐などの凶悪犯罪の捜査を指揮します。 一方、所轄の署長は、警察署の責任者であり、管轄地域内の治安維持や犯罪捜査の指揮にあたります。
階級はどちらも警視ですが、警視庁捜査一課長は警視庁本部の管理官であり、所轄署長は現場の指揮官であるため、職責としては所轄署長の方が上になります。
刑事ドラマと現実の警察
刑事ドラマでは、しばしば警視庁と所轄の対立や、キャリアとノンキャリアの確執が描かれます。
しかし、現実には、警視庁と所轄の警察署は協力関係にあり、事件解決のため共に活動しています。 キャリアとノンキャリアについても、協力して職務にあたっています。
刑事ドラマはあくまでもフィクションであり、現実の警察組織とは異なる部分も多いことに留意する必要があります。
まとめ:警視庁と所轄の違いは?捜査一課長と所轄の署長どっち偉い?
- 警視庁と所轄は、それぞれ異なる役割と権限を持つ警察組織ですが、事件解決のためには相互に協力し合うことが不可欠です。 ドラマでは対立構造が強調されることもありますが、実際には、両者は協力関係にあり、事件解決に向けて共に努力しています。