スペースシャトルの打ち上げ速度は?月までの時間は?

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スペースシャトルの打ち上げ速度はどのぐらいなのでしょうか?時速・マッハ・光速だと?

またスペースシャトルは月までの時間はどのくらいになるんでしょうか?

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スペースシャトルの打ち上げ速度は?

スペースシャトルが打ち上げられると約3Gの加速度を保ちながらどんどん加速していきます。

打ち上げ後約1分前後で音速の壁を越え、その瞬間にはシャトルの機首に円錐形の雲が一瞬現れることがあります。

打ち上げ後2分で、シャトルは高度約45km、速度は対地速度で時速4,800kmに達します。その後、打上げから約8分40秒後にエンジンが停止され、そのときの速度は秒速約8kmに達します。

正確な打ち上げ速度は27,875 km/h = 7.7km/sです。

円軌道に投入されるのは、打ち上げの約40分後で軌道に乗ったときのシャトルの速度はマッハ約24になります。

ただ、「マッハ」という単位は空気の薄さによって変化していくので、対地速度28,800km/hという速度がマッハいくつになるのかは分かりません。

速度の単位のcマッハは、「気温15℃、1気圧 (1013hPa) の音速」がマッハ1です。

地上(1気圧)の条件下でのマッハ1は秒速約340m、時速に直すと1,224km/hです

■音速(マッハ)
国際標準大気(ISA)では、海面上で気温15℃での音速は約 340 m/s ( = 1225 km/h) ( = 0.34 km/s)

■第一宇宙速度
地球の地表すれすれに衛星として存在するために必要な速さで、約 7.9 km/s。

■第二宇宙速度(脱出速度)
地球表面から慣性飛行を行って、地球の重力を振り切るために必要な最小初速度の大きさ。第一宇宙速度の倍となり、約 11.2 km/s。

■第三宇宙速度
地球表面から慣性飛行を行って、太陽の重力を振り切るために必要な最小初速度の大きさで、約 16.7 km/s。

宇宙に行くには、地球の引力から離脱するための初速が必要で、その初速は第二宇宙速度と呼ばれる11.2km/s であることを昨日の日記で説明しました。そして、ジェット機で第二宇宙速度を得ることは現在の技術水準では不可能であるため、ジェット機で宇宙に行くことは出来ません。そこで、今日は何故ジェット機では第二宇宙速度を得ることは出来かを説明してみたいと思います。

これまでのジェット機の速度の世界新記録は昨年11月にNASAの無人ジェット実験機「X-43A」が出したマッハ9.6です。この速度は第二宇宙速度の33マッハの 1/3 程度でしかありません。ナチスドイツは目的こそ宇宙に飛ばすのではなく現在のミサイルに相当するロケットの開発を1920年代に既に始めており、1942年10月3日に人類として初めて人工物体を宇宙に飛ばすことに成功したとの説が有りますが、その最高速度が第二宇宙速度には程遠い 5,500km/h と記載されておりますので疑わしいようです。(上の写真参照)
公式にはソ連のスプートニク1号が最初の宇宙到達ロケットとされております。

ただ、このロケットは、後にロンドン空襲に使われた「V-2」のモデルになった「A-4」で、全長14m 最大直径1.7m 自重4t 液体酸素とアルコールの液体燃料を採用しておりました。このロケットを米ソがそれぞれ自国に持ち帰り、これが基になって1957年にソ連で世界最初の人工衛星スプートニク1号、1958年に米国で世界最初の能動型通信衛星エクスプローラー1号となり、現在のスペースシャトルに受け継がれていったのでした。

ロケットエンジンは燃料をシリンダの中で爆発的に燃焼させて一気にノズルから噴射させて、その反動による推力で進みます。これに対して、ジェットエンジンは、空気をコンプレッサーで圧縮してシリンダで加熱しタービンで膨張させ高温ガスを噴射しその反動による推力で進みます。この際、タービンの回転でコンプレッサーを回しております。

ロケットエンジンは直接、燃焼ガスを噴射させているのに対し、ジェットエンジンはタービンをまわすことで間接的に燃焼ガスを噴射させている点でまず異なります。この場合、爆発的に燃焼する燃料を使った場合は、直接噴射のロケットエンジンの方が効率は落ちますが推力はジェットエンジンに較べて大きくなります。推力は燃焼ガスの温度が高いほど、また燃焼時の膨張率が高いほど大きくなりますので、スペースシャトルに使われる燃料の液体水素はジェットエンジンに使われるケロシンよりいずれも優っており、スペースシャトルに搭載されているロケットエンジンは、同じスケールのジェットエンジンに較べて、数倍から十数倍の推力が得られて、第二宇宙速度を達成できるわけです。

また、スペースシャトルでは水素を圧縮して液体にするとともに、酸化剤として液体酸素も同時に外部燃料タンク内に積み込んでおりますので、空気の無い宇宙でも水素を燃焼させることが出来るの対し、ジェットエンジンでは高度3万m(U-2偵察機の2.7万mがこれまでの最高記録)までが限界です。これもジェットエンジンでは宇宙に行けない理由のひとつとなっております。以上の理由で、ジェットエンジンは低空での補助エンジンにはなり得ても、スペースシャトルの主エンジンにはなり得ないわけです。

スペースシャトルの月までの時間は?

スペース・シャトルを含む宇宙ロケットはロケットの重さに対して搭載した燃料の量で最高到達高度が決まります。

スペース・シャトルの場合最高到達高度は設計上では高度約960km辺りが限界です。

一方、「地球」から「月」まではおよそ38万kmもあるのでスペース・シャトルではそもそも月に行くことはできません。

ただ単純計算で月までの時間を計算すると、スペースシャトルの最高速度は7.743km/s

月の平均軌道半径は384400km

単に384400kmの道のりを速度7.743km/sで進むならば13時間50分ほどで踏破できます。

飛行機では宇宙に行けない理由はいろいろ有りますが、絶対的な理由は次の二つと考えられます。

1.ジェットエンジンでは必要なスピードを出せない。
2.高空では空気が薄いため旅客機のエンジンが動かない。

今、空めがけて垂直に高射砲で弾丸を発射することを考えてみます。 通常の高射砲の最大初速は 2km/s (時速7200km:約マッハ6)程度です。 もし、空気の抵抗が無かったら、果たして弾丸を宇宙まで飛ばすことが出来るのでしょうか。 答えは「飛ばせません」です。実は、弾丸の初速を、第二宇宙速度(=v2)と呼ばれる速度以上にしないと宇宙まで飛ばせないことが、簡単な物理の方程式を解くことで証明されますので、少し難しくなりますが、以下説明します。

地球の質量をM 弾丸の質量をm 地球の半径をr 重力加速度定数をGとすると、弾丸に働く無限遠からみた地球の引力による弾丸の位置エネルギーは地表で GMm/r となります。一方、初速vで発射された弾丸には空気抵抗を無視すれば mv^2/2 の運動エネルギーが働いております。弾丸が地球の引力に打ち勝って宇宙に飛んでいくためには弾丸の運動エネルギーが弾丸の位置エネルギーより大きくなるような初速vが必要になります。

つまり、mv^2/2 ≧ GMm/r  より v≧√(2GM/r)

・G = 6.6720×10^(-11) [N・m^2・kg^(-2)]
・M = 5.974×10^(24) [kg] 
・r = 6.378×10^6 [m]

2GM/r=2×5.974×10^(24)×6.672×10^(-11)/6.378×10^(6)
=125×10^(6)

√(2GM/r)=11.2×10^(3)=11.2[km/s]
いくら高性能の高射砲で宇宙に向けて砲弾を垂直に発射しても、仮に空気の抵抗を無視し得たとしても、初速が11.2km/s 未満では、砲弾は砲弾の持つ位置エネルギーに相当する高さまで達した後、再び地上に落下してしまいます。この速度は第二宇宙速度(=v2)と呼ばれております。従って、スペースシャトルも、発射直後はゆっくりとした速度ですが徐々に加速され最終的には第二宇宙速度でまず、地球の引力圏を脱し、そして第一宇宙速度(=v1=7.9km/s)に落として地球を周回する軌道に乗せて、国際宇宙ステーションとドッキングさせます。

第二宇宙速度の 11.2km/s は、約33マッハで、時速40,320km で1時間足らずで地球を3周する猛烈な速度で、マッハ3程度が最高速度のジェット機では到底出し得ない速度でもあります。そこで、スペースシャトルではロケットを使用して、この第二宇宙速度を実現するのです。

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