映画「すみっコぐらし」では奥ゆかしくて 恥ずかしがり屋ではあるものの個性的な「すみっコ」(すみっコぐらしのキャラクター)達が、
いつものように心をホッコリさせる調子で話が進んでいくのかと思いきや、絵本の世界を舞台に予想を超える展開が待ち受けていて、
どらかというと子供向けのアニメ映画というよりも心が疲れてしまった大人向けの映画ではないか?と評判が評判を呼んでいます。
報道によると11月6日に公開されたばかりだというのに最初に迎えた週末の3日間(11月8日(金)~10日(日))では、
なんと全国の動員数11万4280人、興収1億3287万3500円を記録し、国内映画ランキングで初登場ながら邦画1位(総合3位)を獲得しています。
総合1位、2位の『ターミネーター:ニュー・フェイト』『IT/イット THE END“それ”が見えたら、終わり』には及ばなかったものの、
現在の映画「すみっコぐらし」の異色のヒットを考えると、ランキング総合1位を奪取し2019年を代表する映画になるかもしれません。
映画すみっコぐらし異色ヒットの理由は感動?絶望?すみっコぐらしのあらすじレビュー!
「すみっコぐらし」シリーズには、「すみっコ」と呼ばれるキャラクターが登場します。
- 北から逃げてきた寒がりで人見知りの「しろくま」
- とんかつのはじっこ(おにく1%、しぼう99%)こと「とんかつ」
- 恥かしがりやで気が弱く よくすみっこをゆずってしまう「ねこ」
などなど、説明だけ聞いてもちょっと意味が良くわからないし、
それぞれのキャラクターに触れ幅が広すぎて関係性につかみどころがないものの、
映画すみっコぐらしでは、すみっコたちのキャラクター紹介を兼ねた話が冒頭に出てくるので、
『すみっコぐらし』の世界観を全く知らない初見でも映画で置いてけぼりになることはありません。
映画ではすみっコ達が絵本の中に吸い込まれ、迷子で独りぼっちの「ひよこ」という新たなキャラクターと出会い、
ひよこの仲間(居場所?)をすみっコ達で探してあげることに。
映画すみっコぐらしでは
- 赤ずきん
- 桃太郎
- 人魚姫
- アラビアンナイト
- マッチ売りの少女
などなどの世界が展開されるものの、ひよこの仲間(居場所?)は一向に見つかりません。
悲嘆にくれるひよこですが、湖でなぜ自分には仲間(居場所?)がないのかその理由に気づき、
ひよこのことを気遣うすみっコ達は、一緒に絵本の外の世界に行こう、仲間になろうと招くものの、
実は、ひよこを仲間として受け入れようとするすみっコ達の想うこそが逆に、
ひよこの孤独をさらに深めることになってしまうという展開が待ち受けています。
ネタバレギリギリで映画すみっコぐらしのあらすじを紹介しましたが、
ストーリー展開としては王道中の王道と言っても良いんじゃないかと思います。
最後に泣かせるシーンを持ってくるのも鉄板の展開だとは思いますが、
映画すみっコぐらしが異色ヒットした理由は、まさか「鉄板の展開」が来るとは思ってもいなかったことじゃないかと思います。
映画すみっコぐらしの感想には「JOKERの方がマシ」という口コミもある通り、
ラストの展開は確かに、残酷と言えば残酷で、大人でも泣いてしまうのは無理がないでしょう。
映画すみっコぐらしが問いかける「イデオロギー」を語るならば、
終盤直前までは「自分は何者なんだろうか」というアイデンティティの問題を突き付けられるものの、
最終的にはそこには「自分は何者でもなかった」という純粋な絶望が待ち受けているあたりは、
「カラマーゾフの兄弟」に匹敵するものすらあります。
すみっコ達にとっては、絵本の世界から戻ってきたときには仲間こそいるものの、
言葉にしようのない虚無感を感じていると思いますし、一方でひよこの方はというと、
むしろ、すみっコ達に出会わなかった方が良かったんじゃないか?とも思ってしまいます。
映画すみっコぐらしが異色ヒットした理由は、大人が見ても感動するというよりは、
大人が見ると「何が幸せなのか?」考えさせられる結末で、どうすればみんなでハッピーエンドを迎えることができたんだろうか?と頭を悩ませるからじゃないでしょうか。
もちろん、映画すみっコぐらしには子供に見せられないような残虐なシーンなんて1秒もないので、
子供が見ても十分すぎるほど楽しめる映画になっています。