大正ロマン着物とはいわゆるアンティーク着物の一種。主に江戸時代や明治~大正~昭和初期などの戦前に製作されたものがアンティーク着物と呼ばれ、インスタグラムで数多くの写真が投稿されるようになりました。
大正ロマン着物とは?
アンティーク着物の中でも「大正デモクラシー」の時期に登場した着物のことを特に「大正ロマン着物」と呼ぶことがああります。
西洋文化がどんどん日本に輸入され定着するにつれて着物の柄・デザインも矢絣柄や行燈袴など華やかになっていきます。
女性のファッションには薔薇やチューリップなど西洋の洋花デザインも多く取り入れられ、
ブーツを履くという和と洋を合わせた「ハイカラさん」スタイルがブームになった時代でもありました。
大正ロマン着物はまさに大正時代の女学生の文化シンボルとなっていました。
大正ロマン着物の柄の特徴は?
大正ロマン着物はレトロでモダンな柄が特徴で、近代的な要素と懐かしさを併せ持っています。
大正ロマンや昭和モダンと呼ばれる花柄や幾何学模様は、当時にしか見られない珍しい鮮やかな色合いを持つ個性的な柄が多くありますが、
その背景にはヨーロッパで流行していた絵画的表現のアールヌーボーの影響と化学染料の普及があります。
鮮やかな色合いや曲線美が融合したモダンな着物が流行すると、
銘仙(めいせん)のような抽象的な色柄が普段着として着用されるようになっています。
大正ロマン着物に代表される和洋折衷の着物や洋服は大正時代のファッションの中心となり、昭和初期頃まで続きます。
大正ロマン着物の歴史は?
大正ロマン着物の年代を定義するならば、1912年から1926年までの14年間とされるようです。
この頃の着物の着こなし方は、装飾をつけた柄半衿を大きく見せるスタイルがトレンドで、
羽織は長羽織と呼ばれる着丈が長い羽織が時代の先端を行くファッションとなっていました。
逆に明治時代は奢侈禁止令(しゃしきんしれい)の影響で初期から中期に欠けた普段着は素朴な木綿の着物が主流でしたが、
後期になるとアンティーク着物は柄や色使いが特徴的で華やかな印象の着物も見られるようになります。
明治初期は帯のほうも、明治時代の丸帯は両面全通で織られた茶色や黒などの地味な色で作られていて、
正絹で作られた振袖なども、文様は小さめで地色も渋く地味な印象の着物がほとんど。
裾や袖先にぽつんと配されているものばかりで、振袖や留袖に配されている紋(もん)は現在とサイズが違い、当時の紋は大きめの形が主流だったそうです。
大正ロマン着物のコーディネート例