電車(電気で走る鉄道)は停電時はどうなる?運行できない?
少しなら予備電力とかで走れる?停電になった瞬間は非常停止する?
停電で電車が停車した場合どのくらいの時間で復旧しますか?
停電で電車はどうなる?
電車は停電時は運行できません。
電気事故などで、走行中に架線停電となる時はたまにあります。
同じ区間を走っている他の列車の電気機器が故障や、運転士や技術係員の取り扱い誤りなどによって変電所の「ハイビー」と呼ばれる装置が作動して送電ストップとなる事は、そんなに珍しい事ではありません。
私も元運転士ですが、幾度も架線停電を経験しております。
列車の運転中に突然の架線停電に見舞われた場合、一定の速度さえ出ていれば、通常は惰性で次の駅まで転がっていく事ができますから、通常はそのようにして次の駅まで運転します。
この間、車内の電灯はほとんど消えて予備灯だけになり、冷暖房も止まりますから、お客様も、なんとなく停電した事に気づきます・・・
しかし理数系が苦手な方は、電車が止まらずに走り続けている事を不思議がります・・・
自称・鉄道会社に「勤務していた」という人でも「バッテリーにより約30分は自走できる」などというトンデモない魔回答をするくらいですからねぇ。
物理的には、あくまで惰性で転がるのです。鉄のレールの上は転がりやすいので、まるでガラスの台の上のパチンコ玉のごとくしばらくは走れます。
決してバッテリーで走っているのではありません。
そして、とりあえず駅に転がり込んだあとで、送電再開まで待ちます。
しかし状況によってはやむをえず駅と駅の間で止まってしまわざるを得ない場合もあります。
ちなみに新幹線の場合は架線が停電すると直ちに非常ブレーキがかかってしまうシステムになっています。
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パンタグラフが故障の場合、場合によっては当該パンタグラフを緊縛し(走行中に勝手に上がってしまうと架線設備が壊れるため)、他の車両の電源と動力のみで運転する事もあります。
通常はパンタグラフの壊れた車両のモーターには全く電気は流れないようにします。
このように編成中の一部の動力を切ってしまう事を専門的には「ユニットカット」と呼びます。
また、その車両の電灯や冷暖房の電力を他の車両からわけてもらうこともできます。
これを「電源誘導」と言います。
なお、架線停電が1時間以上におよぶとバッテリーが上がってしまう怖れがでてきます。
バッテリーがあがると制御装置が作動しなくなり、送電再開後も電車が起動できなくなります。
それ以上に注意しなければならないのはブレーキで、停電するとエアブレーキに必要な空気圧縮機も止まったままですから、運転士は手歯止め装着やバッテリーのバックアップなど、あれこれと決められた処置を行わなければならなくなってしまいます。
当然ながら、このような状況での運行はありえません。
停電で電車の復旧は?
停電が発生した原因で変わるので、一概には言えません。
送電システムの瞬時停電のような、1~2分で復帰する場合から、変電所のトラブルや送電線・架線トラブルにより、数時間から丸一日掛かる場合だってある。
時間がかかる場合とかからない場合、かかる地域とかからない地域があります。
各発電所から送られた電気は、変電所に送られますが、
変電所には、親、子、孫のように、順番に電圧を下げながら、
最終的に100V(200V)で各家庭に送られています。
電力供給量が不足した時点で、
各家庭でブレーカーが落ちるのと同様に、変電所がダウンします。
(厳密に言うと違いますが、回答とは趣旨が変わってきますので)
変電所で電圧を下げつつ、さらに次の変電所に供給していくため、
震災発生時のように、電車がいつ動くかわからない状態が続きます。
また、一気に戻しますと、瞬間的に高圧の電力が流れ、
コンピュータ機器など、電気製品の基盤が故障してしまいます。
震災の停電後、電力復旧時に家電が壊れてしまったお宅もあったはずです。
1987年に、同じ原因から首都圏で大停電が起こりましたが、
早いところで30分。遅いところで3時間以上かかっています。
現在は、電力供給量が増えており、さらに時間がかかるものと思われます。
停電に関しては、東京電力管轄(東京電力の変電所)の地域だけです。
その他の地域は、何も変わりません。