NHK朝ドラ「おかえりモネ」では宮城県無形民俗文化財に指定されている登米能(とよまのう)が取り上げられます。
■おかえりモネ2話あらすじ
百音(清原果耶)は、サヤカ(夏木マリ)の山の樹齢300年のヒバの木の存在を知って、心を揺さぶられる。森林組合の課長の翔洋(浜野謙太)は週末に登米の伝統の能の定例会を控えて、そわそわしていた。百音は、能舞台を見学に行き、サヤカと川久保(でんでん)が、ヒバの伐採について話し合っているのを目撃する。その夜、百音の妹・未知(蒔田彩珠)の水産高校での取り組みのニュースを見て、百音は妹をまぶしく感じる。
■おかえりモネ4話あらすじ
百音(清原果耶)と翔洋(浜野謙太)は、気象キャスターの朝岡(西島秀俊)を森林セラピーに案内する。その最中、風向きや雨雲のようすから天気の変化を正確に言い当てた朝岡に驚く百音。やがて雨が降り出し、夕方からの能の定例会を中止にしなければならない、と落ち込む翔洋たちを見て、百音は雨が定例会の開始時間までにやむ可能性はあるのか、と朝岡にたずねる。果たして定例会は無事開かれるのか……。
■おかえりモネ5話あらすじ
いよいよ「登米能」の定例会がはじまる。百音(清原果耶)は、サヤカ(夏木マリ)の奏でる笛の音や、ふだんと全く違う雰囲気で能舞台に立つ翔洋(浜野謙太)の姿に感動する。定例会後、サヤカ(夏木マリ)が電話で百音の祖父・龍己(藤竜也)に百音の様子を伝えていると、龍己は電話越しの百音の楽しそうな声に驚く。そしてサヤカ自身も、ある決意を固める。翌日、朝岡(西島秀俊)の希望で百音たちは北上川を見にでかける。
登米能とは?おかえりモネで宮城県無形民俗文化財
登米能(とよまのう)は、仙台藩においても手厚い庇護と奨励を受けて発展した能楽です。
演能は登米謡曲会により年を通しての練習と、毎年6月に行われる新緑薪能と9月の秋祭りの宵まつりに奉納される「薪能(タキギノウ)」として、演目を変えて上演しています。
能楽は武家の式楽として重視されていたことから、特に伊達一門の格式を持つ登米伊達家の領内では、能が盛んに行われていました。
仙台藩祖である伊達政宗公は能楽史上に大きな影響を与えるほど能を愛し、五代藩主の吉村は仙台藩独自といえる『金春大蔵流(大蔵流)』を創設しています。
伊達一門の登米伊達家では歴代藩主が編み出した大倉流を継承し、現在に伝わる「登米能」の原型となりました。
明治の廃藩後、仙台領内の各地の能楽が廃絶衰微した中で、伊達家の旧家臣・大内五郎右衛門が中心となり「登米能」として継承するなど登米の能楽だけは地域に定着しました。
幸いに登米伊達一門は当主が農地を家臣に分け与えたことから家臣全員が帰農することができ、そのことが登米能を一般町民にまで普及させる要因となりました。
登米謡曲会は、平成3年度宮城地域づくり大賞(新・伊達なスピリット部門)、平成4年度に第42回河北文化賞を受賞し、平成10年には宮城県無形民俗文化財に指定された。平成12年には文部大臣賞(文化財保護)・国土庁長官賞(過疎地域自立活性化)を受賞している。
『森舞台』の愛称で親しまれている伝統芸能伝承館の能舞台は、建築家隈研吾氏の設計。
300年近い歴史と伝統を誇る登米能(とよまのう)のホームステージとして平成8年(1996)年にオープンした。もと登米伊達家の御鍛冶屋(鉄砲鍛冶)屋敷跡地