「中宮」と「皇后」の違いについて。
皇后と中宮が「並び立つ」とはどういう意味になるんでしょうか?
皇后、中宮、女官、内掌典の違いとそれぞれの天皇との関係性は?
中宮と皇后の違いは?
中宮と皇后の違いについて、まず「中宮」と「皇后」は元々同じ意味を持っています。しかし、時代や状況によって使用される場面や意味が変わることがあります。
通常、「皇后」は天皇の正妻を指し、「中宮」は皇后が住む場所を指す言葉でした。つまり、「中宮」は本来、「皇后の住居」という意味でしたが、後に「中宮」に住む人=皇后自身を指すようになりました。
しかし、平安時代中期に藤原道隆の時代に、「中宮」と「皇后」が別々の意味で使われることがありました。当時、皇后の定員が既に埋まっており、新たな皇后を立后させることが難しい状況でした。そこで、道隆は自らの娘を立后させるため、「中宮」という称号を創設しました。そのため、道隆の娘は「中宮」として皇后になりました。
この時代において、一人の天皇に複数の皇后が存在する「中宮・皇后並立」の制度が生まれました。この制度により、一人の天皇に複数の皇后が存在することが許され、その中で中宮と皇后が同時に存在する状況が生まれました。
その後、中宮と皇后が同時に存在することが許容されるようになり、日本の歴史では一時期、一人の天皇に中宮と皇后が同時に存在することが一般的でした。
中宮と皇后、女官・内掌典の違いは?
女官は律令制では12司の職員を指し、後に平安時代以降は後宮に仕える女性官人を指すようになりました。女官たちは内侍司以下の部署に所属し、天皇の儀式や日常生活に密接に関わっています。一方、内掌典は神を祀る三殿を護る役職であり、皇族の神事の補佐役として活動します。
■女官
律令制では内侍司以下12司の職員を指します。
平安時代以降は、後宮に仕える女性官人のことを指します。
内侍司は天皇に最も近い部署であり、女官たちは天皇の儀式や日常生活に密接に関わっています。
女官には尚侍、典侍、掌侍、命婦、女蔵人などの役職があります。
■内掌典
平安時代から変わらぬしきたりを伝え、神を祀る三殿を護る役職です。
皇族の行う神事の補佐役としてかかわりをもちます。
皇后は天皇の正妻であり、その地位は皇室の中心に位置しています。一方、中宮は元々は後宮を表す言葉であり、皇后の住まう場所を指していました。平安時代に入ると、皇后のみを指す呼称として使われるようになりましたが、一時期、皇后と中宮が同時に存在する「中宮・皇后並立」の制度がありました。しかし、後に一条天皇の時代に皇后と中宮が分離し、同時に立てられることはなくなりました。
中宮と皇后の違いまとめ
本来、「中宮」と「皇后」は同じ意味で、天皇の正妻を指します。しかし、時代によってその意味や使い方が変化してきました。
■1. 皇后と中宮の本来の意味
皇后:天皇の正妻を指す正式な呼称。律令制で定められた。
中宮:皇后の住居を指す呼称。転じて、皇后自身を指すようになった。
■2. 皇后と中宮の使い分け
平安時代中期までは、「皇后」と「中宮」は同じ意味で使われていました。
平安時代中期以降、皇后と中宮が並立するケース出?しました。
先に妻になった人を「皇后」、そのあとに妻になった人を「中宮」と呼ぶようになった。
状況によっては、皇后と中宮が同格である場合もありました。
■3. 皇后と中宮の呼称の変化
時代によって、「皇后」と「中宮」の呼称は複雑に変化してきました。
近代以降は、「皇后」が天皇の正妻を指す唯一の呼称として定着しました。
■4. 皇后と中宮の例
藤原定子:一条天皇の中宮。後に皇后となった。
藤原彰子:一条天皇の皇后。
源氏物語:中宮は皇后と同格の存在として描かれている。