「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」の意味は？
数々の名言を残している哲学者・ニーチェの言葉ですが、どんな意味なんでしょうか？
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ｜意味は？ニーチェ
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉は、哲学者ニーチェの言葉で、深い意味が込められています。この言葉の意味をわかりやすく説明しましょう。
この言葉は、人間の心や内面について考える哲学的な言葉です。以下のポイントで説明します。
深淵とは心の奥底
心の中を覗く行為
深淵もこちらをのぞいている
深淵と人間の共通性
地獄と天国
簡単に言うと、この言葉は、人々が自己探求を通じて自分の内面を理解し、その内面にある複雑な感情や欲望に向き合うと同時に、他の人々も同じように内面を探求し、複雑な感情や欲望を持っていることを示唆しています。
深淵とは心の奥底
「深淵」という言葉は、人間の心の奥底や内部を指します。これは、私たちが普段意識していない、無意識の部分や複雑な感情、欲望、考え、怖れなどを表現しています。
心の中を覗く行為
言葉が言っていることは、人々が自分の内面や心の中を探求し、深い感情や思考に向き合う行為を指しています。人は自己認識や自己理解を得るために、時に内面を覗くような行為をします。
深淵もこちらをのぞいている
この部分が重要で、深淵を覗くと同時に、その深淵もまた私たちを覗いていると述べています。つまり、私たちが自己探求や内面への旅に出ると、私たちを形成する深淵の部分も私たちを覗いているのです。深淵とは、私たちの内面の闇や複雑な部分で、それは私たちの中に存在します。
深淵と人間の共通性
この言葉は、人々が共通して深淵を抱えていることを強調しています。言い換えれば、誰もが自己探求をする際、その深淵の一部に触れることになります。私たちはみな似たような内面を持っており、その内面には善悪の複雑な要素が含まれています。
地獄と天国
ニーチェの言葉には、地獄と天国への言及もあります。人々が深淵を探求し、内面を覗いたとき、自分の中に善と悪、光と闇が存在することを知ることになります。これは、人間存在の複雑さを示唆しています。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ｜原文
『Und wenn du lange in einen Abgrund blickst, blickt der Abgrund auch in dich hinein.』
実際には、直前の『Wer mit Ungeheuern kampft, mag zusehn, dass er nicht dabei zum Ungeheuer wird.』(簡単に訳すと「怪物と戦う時は自らも怪物にならぬよう、心せよ」)から一続きの文章でこちらだけが一人歩きして知られています。
原文から考えるならば、怪物から通して日本の諺でいう「ミイラ取りがミイラになる」という状況に陥らないように警告しているという意味にも解釈出来そうです。
ニーチェとは？｜深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ
ニーチェは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したドイツの哲学者です。
ニーチェは、1844年、プロイセン王国領プロヴィンツ・ザクセン（現在のドイツ領）で、ルター派の牧師の息子として生まれました。5歳のときに父が早世しましたが、音楽と国語の才能を認められて名門校に特待生として入学しました。
卒業後はボン大学へ進学して神学と古典文献学を学び始めましたが、直ぐに信仰を放棄して神学の勉強も止めるようになりました。1869年、ニーチェは博士号も教員資格も取得していなかったが、その類まれな優秀さによって、24歳でスイスのバーゼル大学から古典文献学の教授として招聘されました。その際にプロイセン国籍を放棄して終生無国籍者として生きることとなりました。
■哲学者としてのニーチェ
ニーチェは、ギリシア哲学やショーペンハウアーなどから強く影響を受け、鋭い批評眼で西洋文明を革新的に解釈しました。特に、キリスト教や道徳を批判し、人間の自由と自立を重視する思想は、大きな反響を呼びました。
ニーチェは、実存主義の先駆者、または生の哲学の哲学者とされています。彼の思想は、フロイト、ユング、アドラーといった心理学の権威達にも影響を与えました。
■ニーチェの名言
ニーチェは、生前数多くの名言を残しました。その中でも有名なものをいくつか紹介します。
「神は死んだ」
「永劫回帰」
「超人」
「善悪の彼岸」
「自己超克」
まとめ：深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」の意味
この言葉は、ドイツの哲学者ニーチェが残した言葉です。
深淵とは、心の奥底や、人間の理解を超えた存在を表す言葉です。
「深淵をのぞく」*とは、心の奥底を見つめようとする、あるいは、人間の理解を超えた存在に挑戦しようとする、という意味です。
*「深淵もまたこちらをのぞいている」とは、心の奥底や、人間の理解を超えた存在もまた、こちらを見つめている、という意味です。
