水筒にスポーツドリンク入れちゃダメなの?
食中毒の危険があるの?というと、
確かに食中毒の原因が水筒に入れたスポーツドリンクだった、
という事故も過去にはあったようですが、
ここ10年以上、似たような事故は起きていないようです。
サーモスや象印などの水筒メーカーのホームページでも、
水筒にスポーツドリンクを入れる際の危険性を指摘しているものの、
正しい使い方をしていれば問題ない、という見解です。
よほど長い間、水筒の中にスポーツドリンクを放置するようなことしなければ、
水筒にスポーツドリンクを入れても問題はないだろうし、
それでも心配があれば現在はスポーツドリンク対応の水筒も発売されています。
ただ水筒というのは意外と雑菌が繁殖しやすくて、
パッキンが黒ずんだりカビが生えることも多いです。
雑菌もカビもわずかな水分・栄養分で繁殖をしてしまうので、
スポーツドリンクだろうが水だろうがお茶だろうが、
水筒は使用後、すぐにでも洗って乾燥させなければいけません。
また、熱中症対策として水筒にスポーツドリンクを入れるのなら、
他にもバケツに水を入れてタオルを濡らしておくと、
体温を効果的に下げることができるし体感的にも気持ちが良いですよ。
水筒にスポーツドリンクは食中毒の危険でダメ?
スポーツドリンクや乳酸飲料などは
わずかですが酸性の性質を持っているので、
金属に付着をすると酸化させてしまいます。
スポーツドリンクには塩分が含まれていて、
塩が水に溶けると産生を示すようになるし、
乳酸飲料は「乳酸」という成分が水に溶けることで、
やはり産生を示すようになります。
※もちろん、人体に悪影響を与えるほど強い酸性ではありません。
ステンレス製の水筒にスポーツドリンクを入れると、
水筒の内部を侵食してしまい、保冷効果が下がるだけじゃなくて、
酸によって傷がついた部分に雑菌がとどまるようになり、
食中毒の危険も高くなる?
2008年におきた食中毒の事故では、
水筒内部に傷がついていたらしく、
本来であれば水筒の中身と直接接することがない二重構造の内部から
銅が溶け出したことが原因と判明。
水筒にスポーツドリンクを入れたことが
水筒内部に傷を作ってしまったんじゃないか?と言われているものの、
この事例では朝の7時に粉末のスポーツ飲料を水に溶かして水筒に入れ、
実際に飲んだのは午後2時頃だったようです。
スポーツドリンクを何日も入れっぱなしにしていたわけではありませんが、
それまでに繰り返しスポーツドリンクを水筒に入れていて、
水筒内部が徐々に浸食していた可能性も考えられます。
ただ科学的に考えてみると、スポーツドリンク程度の酸性では、
水筒内部が激しく浸食されるとは考えにくいものがあります。
実際に2008年以降は似たような事故は発生していないようですし、
東京都健康安全研究センターの担当者も、下記のように発言をしています。
基本的には、金属製の水筒であっても内部にコーティングが施されている製品がほとんどですので、スポーツドリンクを入れたからといって、金属が溶け出すことはほぼないと考えています
現在は水筒内部をフッ素加工するなど、
保冷効果を高めるだけじゃなくて、
ちょっとやそっとではさびたり
劣化しないように改良が加えられています。
水筒にスポーツドリンクを入れても、
中身を入れたまま何日も放置するようなことをしなければ、
安心して飲むことができると考えて良さそうです。
水筒の大手メーカーのスポーツドリンク対応状況についても、
まとめておきます。
- サーモス
- 象印
- タイガー魔法瓶
サーモス水筒のスポーツドリンク対応状況
サーモスのホームページを見てみると下記のような記述がありました。
Q.スポーツドリンクを入れてもいいですか?
A.スポーツドリンクを入れてお使いいただいても構いませんが、ご使用後は十分にお手入れをお願いいたします。
で、外びんと内びんとの間は1000万分の1気圧以下なのです。
サーモス水筒は真空断熱技術が優れているのが最大の特徴です。
外びんと内びんの二重構造となっていて、
外びんと内びんとの間はなんと1000万分の1気圧以下。
ほぼ真空に近い状態なので
水筒の外部と内部で熱の交換がほとんど行われず、
抜群の保冷効果があります。
象印水筒のスポーツドリンク対応状況
象印のホームページを見てみると下記のような記述がありました。
Q.スポーツドリンクを入れてもいいですか?
A.スポーツドリンクに対応している製品があります
象印では水筒内部にフッ素加工を施すことで、
水筒の耐久力を高めていますが、
『スポーツドリンク対応』水筒ではフッ素加工を2倍に強化。
さらにボトルのフチ部分には樹脂カバーがつけられていて、
さびにくく雑菌やカビなども発生しにくくなっています。
タイガー魔法瓶のスポーツドリンク対応状況
タイガー魔法瓶のホームページを見てみると下記のような記述がありました。
Q.スポーツ飲料を入れてもいいのですか。
A.ご使用いただけます。
しかしながら、スポーツ飲料の成分には塩分が含まれており、ステンレスが腐食する可能性がありますので、使用後はすぐにお手入れをしてください。
外出先など充分なお手入れができないときでも、すぐに本体内側をよく水ですすいでください。
「サハラスリム」ステンレスボトルMSC-Cには、
ボトルの内面にスーパークリーン加工が施されていて、
臭いもも汚れがつきにくくなっています。
使用後はさっと洗うだけで清潔な状態を保つことができます。
プラスチック水筒ならスポーツドリンクOK?
水筒メーカーの公式な見解だと、
ステンレス製やアルミ製の水筒にスポーツドリンクを入れても、
長時間放置しなければ安全です、といっ感じです。
「そうは言ってもやっぱりちょっと心配。。」
というのであれば、プラスチック水筒や
シリコン水筒の方が良いかもしれません。
金属とは違ってシリコンやプラスチックの場合には、
酸に対する耐久性も高く傷もつきにくくなります。
実際にアスリートの世界ではプラスチック水筒が
使われている場面を良く見かけます。
ただプラスチック水筒だからと言って、
食中毒の危険がゼロになるわけではありません。
次で説明をするとおり使用後はすぐに洗うなど、
適切な使い方をすることが前提になるので
プラスチック水筒やシリコン水筒だからと言って油断は禁物です。
水筒に入れたスポーツドリンクを安全に飲む方法
スポーツドリンクを水筒に入れても、
それほど心配はないとは言っても、
正しい使い方をすることが暗黙の了解となっています。
スポーツドリンクに限らず普通の水でもお茶でも炭酸水でも、
- 帰宅をしたらすぐに水筒を洗う
- 定期的にパッキンを分解して洗う
という2点に気を付けなければいけません。
帰宅をしたらすぐに水筒を洗う
水筒は食器と同じように1回使うごとに洗うのが基本です。
水しか入れてなかったのであれば、
さっと水ですすぐ程度で良いかもしれませんが、
1ヶ月に1回は洗剤を使ってキチンと洗うようにしましょう。
水筒の中にわずかな汚れや水分が残っているだけでも、
雑菌がカビが繁殖する原因になります。
水筒が臭くなってしまうこともあって、
手入れがさらに大変になってしまうので、
日頃の手間を惜しまないように気を付けましょう。
定期的にパッキンを分解して洗う
最近の水筒だとたいていは、
中身が漏れるのを防ぐためにパッキンが使われています。
輪っか上のパッキンや円盤状のパッキンなどがありますが、
パッキンに水や汚れが残っている雑菌やカビが生えやすくなります。
特にパッキンが設置されている部分は細かい凹凸があるため、
汚れも水も残りやすく、雑菌・カビが繁殖しやすい場所なので、
定期的にパッキンを外してしっかりと洗浄&消毒をするべきです。
黒ずみなどの異常が見られなければ台所洗剤で簡単に洗うだけで良いですが、
もしカビが発生している場合には重曹を使ったり、
酸素系漂白剤で殺菌力を高めるようにしましょう。
熱中症予防のスポーツドリンク補給の注意点
水筒にスポーツドリンクを入れたくなるのは、
熱中症予防も目的の一つじゃないかと思います。
汗をかいたら水分だけじゃなくて塩分などミネラル分も失われるため、
単なる水分補給だけじゃなくてミネラル補給もしなければいけません。
スポーツドリンクならば水もミネラルも同時に補うことができますが、
スポーツドリンクには糖分(ブドウ糖)もたくさん入っています。
ブドウ糖は体に素早く吸収されてエネルギーに変換されるものの、
逆に喉が渇いてしまうというデメリットもあるので、
スポーツドリンクの飲み過ぎには要注意です。
熱中症予防目的で水筒にスポーツドリンクを用意するのであれば、水で薄めるか
もしくは粉からスポーツドリンクを作るのなら粉の量を少なめにしましょう。
水を入れたバケツにタオルを浸して冷やすのも効果的
体温を下げるためには、体の内側から冷やすだけじゃなくて、
身体の外側から冷やすのも非常に効果的です。
バケツに水を入れておいて、ハンドタオルを浸しておけば、
休憩時に効果的に身体を冷やすことができるので便利ですよ。