過去の出来事を忘れられず心に深い傷をもつ壱晴と、恋愛経験がほとんどなく今の環境から逃れたい桜子。
徐々にお互いを知り、惹かれあい、悩み、気持ちを確かにしていく様子が丁寧に描かれてい
二人は結婚式の二次会で出会い、同じベッドで一夜を過ごす。その数日後、仕事の打ち合わせで二人は偶然再会するが、
壱晴は桜子のことを全く覚えていなかった。さらに突然、壱晴の声が出なくなって…
やめるときも、すこやかなるときも原作ネタバレ
ドラマでは結婚式の2次会で二人は出会ったことになっていますが、
原作小説では本橋桜子が勢いで参加した婚活パーティーに須藤壱晴もいて、
意気投合した結果、ドラマとような展開になっていきます。
須藤壱晴のトラウマネタバレ[記念日反応は大島真織の交通事故死命日]
家具職人の須藤壱晴は一見軽薄そうに見えるものの、その理由は過去に大切な人を失ったことがきっかけで、人と深く関わることに恐怖を覚えているからです。
女癖の悪い「軽い男」も壱晴の演技で、もし誰かのことを心から好きになったのにまた同じように失ってしまったら立ち直る自信がなかったことが理由でした。
須藤壱晴がまだ高校生だった時に大島真織(まおり)という好きな子がいて、
声が出なくなる『記念日反応』も大島真織(まおり)が深くかかわっていました。
同じクラスだった大島真織(まおり)は「将来の夢は数学を研究し続けること」と語り、
土日もフルタイムでアルバイトに明け暮れていました。
家を出て京都の大学に進学するんだと壱晴に話していたものの、
本当の理由は『自分が働かなければ生活できなかったから」でした。
真織は父親と二人暮らしをしていたものの、絵にかいたようなダメ親父で働かないわ、
毎日ギャンブルに明け暮れ酒乱で暴力をふるうというほめるところがまるでない人間。
壱晴はそんな真織の事情を目の当たりにしてショックを受けるも、
その事情ごと真織を背負っていきたいと覚悟を決め、真織も壱晴の気持ちに応えようとしていた矢先、
卒業を間近に控えた高校三年生の12月に事件が起こります。
壱晴の目の前で壱晴は信号無視の大型トラックに突っ込まれて、短い人生を終えました。
壱晴が記念日反応で声を失うのは真織の命日が近づくころで、
もう少しだけ真織を引き止めていれば交通事故なんて起きなかったんじゃないか?
真織の自転車のブレーキをもっときちんと直していれば、、、
いつもどおり自分が真織を家まで送っていれば、、、
絶望と後悔にさいなまれる壱晴は事故の翌年、大学1年で19歳の時から真織の命日が近づくたびに声は出なくなるのでした。
本橋桜子の事情ネタバレ[父親会社倒産の借金返済とDV(虐待)]
中堅の印刷会社に勤め両親と同居と暮らす本橋桜子は、高校を卒業する間際に父親が経営していた印刷会社が不景気で倒産して以来、
奨学金で大学に通いつつ大学の時はバイトに明け暮れる日々。
当然、遊ぶ余裕なんて全然なくて浮いた話もない上に、
父親が酒を飲んでは家族に暴力を振るっていたようなので、
真織とよく似た境遇だったことも壱晴が桜子にひかれた要因の一つ何でしょうね。
桜子は恋愛経験がないわけではないものの告白すると断られるわ、
バイトで恋愛する暇がないわで就職してから29歳になってようやく男性と付き合うことができたものの、
処女だということが原因で交際が途絶えたまま32歳を迎えることになり、
壱晴とは偶然かつ運命の出会いを果たすことになります。
やめるときも、すこやかなるときも最終回ネタバレ[結末はハッピーエンド]
壱晴と桜子はお互いの抱えるトラウマや事情を徐々に共有していき、
スローペースながら着実に距離を縮めていきます。
桜子のたっての希望で、まずは一年間だけ同棲することになり、
救いようがない桜子の酔っ払い父への挨拶で何とか穏便に済ませることができたところで、
季節は真織の命日がやってくる12月。
壱晴の声が毎年出なくなる季節となりましたが、
「真織」
「ありがとう。さようなら」
なんと、壱晴の声が出るようになっていました。
ラストシーンは2人が同棲していると思わせるマンションで、
「ただいま。桜子」
と、つぶやく壱晴の姿がありました。