「真相は闇の中」と「真相は藪の中」ではどちらが正しいのでしょうか??
同じく
・真実は闇の中
・真実は藪の中
はどっち?
「真相は闇の中」と「真相は藪の中」どっちが正しい?
「真相は闇の中」と「真相は藪の中」
「真実は闇の中」と「真実は藪の中」
どちらの言い方が正しいのかというと、どちらも正しい表現でしょう。
話者が事態をどのように捉えるかの問題だと思われます。
「藪の中」という言葉自体はありましたが、それは本当に文字通り「藪の中」という意味です。
藪(やぶ)の中(なか)
(1)低木や竹などの生い茂ったなか。
*今昔物語集〔1120頃か〕二九・二三
「昼の養せむとて藪の中に入るを」
(『日本国語大辞典』)
『故事俗信ことわざ大辞典』でも
藪の中
低木や竹などの生い茂って外からよく見えないところ。
芥川龍之介の小説「藪の中」をふまえて、関係者のいうことが食い違って、真相がわからないことのたとえ。
まとめ:「真相は闇の中」と「真相は藪の中」どっちが正しい?
「真相は藪の中」が慣用句です。
「薮の中」は、おそらく芥川龍之介の作品『薮の中』から生まれた言葉でしょう。
関係者の認識の食い違いなどにより、物事の真実が明らかにならないでいること。
これからも明らかになりそうにないというニュアンスを多分に含む。
「藪の中」という単語は芥川龍之介の同名の小説からとられたものとされており、「闇の中」を間違いとする向きもある。
……実用日本語表現辞典より
「真相がさっぱりわからない」ことを「藪の中」と言いますが、「わからない」ことを「闇」と表現できるかどうかです。
「闇」は、「闇にまぎれて」「心の闇」「一寸先は闇」等の表現はありますが、「闇の中」はありません。しかし、意味はよくわかります。
〈前途に希望のないこと。見通しのきかないこと〉を「一寸先は闇」と言いますが、「真相は闇」では<真相は前途に希望のない。真相は見通しがきかない>では
意味が通じません。
「真相を闇に葬る」などという言い方があるので、「藪」と「闇」とが混同されたのではないでしょうか。
芥川龍之介の小説「藪の中」を双方が当然に知っていると分かっている者同士の会話で、
「事の顛末について、Aは○○と言っているが、Bによれば××で、Cは△△と言っていたよ」というような話の流れの中で、
「それではまさに、”真実は藪の中”だね」のように使います。
参考「真相は藪の中」の由来は芥川龍之介の「藪の中」?
「真相は藪の中」の由来は芥川龍之介の小説「藪の中」という説もあります。
簡単に紹介すると芥川龍之介の物語の謎の真実が示されていない小説(リドルストーリー)です。
3人の当事者のうち、最初に登場する多襄丸の白状が、「あの男を殺したのは私です。」という言葉から始まるので、読者は犯人探しをしたくなりますが、小説の中に犯人は書かれていません。
もしかしたら、3人が全て嘘を言っていて全く別の犯人がいる可能性さえあります。
結局のところ、犯人はわかりません。作者が犯人が分からないように書いているからです。
■あらすじ
1人の侍の死をめぐって、捕らえられた強盗、死骸の発見者の木樵り、強盗を捕らえた放免の話が語られる。また侍の妻は清水寺で懺悔をし、侍の死霊は巫女の口を借りて当時の有様を語る。しかしいずれも自分を中心に語り、話は核心部分で微妙に食い違う。真実は不明、すべては藪の中である。