バラエティー番組「クイズ!THE違和感」で、「体調不良者続出の呪われた銀行」としてその原因を探る企画が放送されました。
■放送内容
大好評「巫女が解決!実録ミステリー違和感」日向坂&AKB豪華共演!体調不良続発の呪われた銀行…驚きの犯人見抜け!ラランド・ニシダの名芝居に大悟唸る!!
銀行で体調不良者続出の原因は床の傾き(傾斜)?
「クイズ!THE違和感」で体調不良者続出の呪われた銀行とされた原因は、建物の傾き(床の傾斜)です。
「床の傾き」のために三半規管や自律神経に変調が…
●CASE 床の傾きで健康被害、社員から「気持ち悪い」という訴えが相次ぐ(金融業・A社・店舗)
社員から「体調が悪い」との声が相次いだ…。 (画像はイメージです。/PIXTA)
企業が「傾いた床」を放置しておくと、どうなってしまうのか。その怖さが垣間見られた事例をまずご紹介します。静岡県にある、とある銀行では、そこで働く社員から、上司に「働いていると具合が悪くなる」という訴えが相次ぎました。会社側がその原因を調べたところ、どうやら床が傾いていることがわかり、私たちに修正の依頼が入ったのでした。そこで店舗の床レベルを測ってみると、基準となる位置から81ミリも傾いていることがわかりました[図表1]。
こうした傾きによる健康被害は、主に三半規管や自律神経に変調をきたすことで起こるといわれています。私たちは仕事で傾いた建物に入ることが多いため慣れており、加えて一時的にしかいないので健康に問題はありません。しかし、そこで日々長時間働いている人にはかなりの影響が出ます。症状の程度には個人差がありますが、知らぬ間にストレスが蓄積し、うつ病になってしまうこともあります。放っておくと非常に深刻な問題につながってしまうのです[図表2]。
会社側の視点に立てば、傾きを放置しておくことで、社員の作業効率は下がり、集中力の低下からミスも多くなってしまいます。また最悪のケースとして、社員に健康被害が現れ、労働基準監督署に訴え出られれば、損害賠償請求はもちろん会社の社会的信用に大きな傷がつくことにも成り得ます。
幸いなことに、A社は社員からの訴えを真摯に受け止め、健康被害が軽度なうちに手を打つことができました。
https://gentosha-go.com/articles/-/28378
北原正章・宇野良二:傾斜室における眩暈と平衡-新潟地震による傾斜ビルの調査研究-, 耳鼻咽喉科臨床, 耳鼻咽喉科臨床学会, Vol. 58, No. 3, pp. 145-151, 1965.3
1964年6月16日に発生した新潟地震で傾斜した建物に居住や勤務する人を対象に、同年11月に面接調査を行った結果を報告しています。
床の傾斜が1°以下では、1日中傾斜室内に生活しているもの6名中2名が頭重感、浮動感を訴えています。2°~3°では、めまい、頭痛、はきけ、食欲不振などの比較的重い症状が現れます。4°~6°では、一方へ強く引かれる感じ(牽引感)が主体的となり、疲労感、睡眠障害が現れ、正常な環境でものが傾いて見えることがあります。7°~9°では牽引感、めまい、吐き気、頭痛、疲労感が強くなり、半数以上で睡眠障害があります。
居住者の経験から出た対策として、時々の外出、床の水平化工事が挙げられています。ベッドだけでも水平にすると寝つきがよく体が疲れないと回答した人があったことが報告されています。
床の傾きの許容範囲などは、国土交通省が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で基準が区分されています。
傾きが3/1000未満の場合:健康被害など:自覚症状なし
傾きが3/1000以上~6/1000未満の場合:自覚症状なしの場合もあるが、傾斜を感じる場合も
傾きが6/1000以上の場合:健康被害など:めまい・頭痛・ふらつき・睡眠障害など生活に支障をきたす恐れあり
引用:https://www.jyutaku.co.jp/column/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/2764
おおむね、傾きが6/1000(1メートルで6ミリの高低差、3メートル間で2センチ近く)を越えると、健康被害の危険性が出てきます。
船や車に酔いやすかったり平衡感覚に敏感な人は3/1,000以下の傾きでも違和感を覚えるようですし、床の傾きが大きくなればなるほど、違和感があり、生活に支障をきたしやすくなります。
逆に大きな傾きがあっても、慣れてしまって気付かず住み続けている人もいるようです。
傾きが6/1,000を超えると床を歩いていると、傾いている方に引っ張られる感覚が出てくるためほとんどの人が影響を受けるようになります。
敏感な人であれば、気分が悪くなり、めまいや頭痛がします。体にいびつな負担がかかるため、肩こりや腰痛を訴える人も出てきます。
傾きが10/1,000を超えるといよいよ、頭痛・吐き気・腰痛だけではなく、睡眠障害や食欲不振など生活に支障が出てくる重度な健康被害の危険性が高まります。
しかし、「床の傾斜が1000分の6以上だから欠陥住宅である」と言い切れるとは限りませんから注意が必要です。地盤の状態や住宅の構造などさまざまな要素から総合的な判定を下す必要がありますから、数値だけで必ず瑕疵があると判断することは早計とも言えます。
逆に、「1000分の3未満の傾斜なら安心して良いのか」と言えば、これもそうとは限らず「欠陥はまったくない」とは言い切れないでしょう。個々の住宅の状況や状態によって異なる判断が必要となる場合もありますから、傾斜の度合いで住宅に問題が生じているかを判定するためには専門業者による詳しい調査・診断が必須です。
https://limia.jp/idea/142298/
体調不良を招く床の傾き(傾斜)の確認方法・注意点は?
床の傾きがあるかどうか、簡単な調べる方法としては、
ビー玉を置く
水平器を遣う
スマホアプリを使う
といった手段があります。
ビー玉ではなくても 丸いものを床に置くと転がるとか、ドアを開閉する時にミシミシときしむ場合、建物が傾斜している可能性があります。
特に床の傾きを確認した方が良い物件としては、
これまで誰かが住んでいた中古物件
建築されてから年数が経過している中古物件
で、いずれにしても中古物件を購入する前には床の傾きがないかどうか事前に確かるべきでしょう。
ただ、正確な角度を知るためには、デジタル水平器などきちんとした機材を使いましょう。