星新一のショートストーリー「善良な市民同盟」のあらすじは?
「善良な市民同盟」は何を伝えたかったのでしょうか?解説は?
善良な市民同盟あらすじ
幼い頃から金を盗んで行方をくらますということを繰り返し手癖が悪かった悪徳不動産会社のセールスマン・守屋は謎の組織「善良な市民同盟」の一員となり、生まれ変わったように生きる。
しかし恋人エリとの幸せな日々の中でも、「善良な市民同盟」の老人が言いはなった「審判の日がやって来たとき、同盟の人間以外の人類は滅びる」という言葉が頭を離れず、心をさいなまれ続ける。そして、とうとう守屋は愛する人のために、破ってはならない約束を破る決意をし、大胆な行動に打って出る。
やがて迎えた「審判の日」。はたして、守屋は、人類は、どのような運命をたどるのか?…
善良な市民同盟ネタバレ解説
守屋は会社の金をくすねる前に実績を出して信用されようと、独居老人を騙すためにある屋敷を訪ねていました。
彼は、その屋敷の主(老人)の前で、間抜けなお人好しを演じたことで、主に気に入られ、あることを告白されます。
それは、
「もうすぐ、人が一瞬でミイラ化して死んでしまう奇病が大流行するが、あるワクチンを定期的に接種することで、その病から逃れられる。
ワクチンの数に限りがあるので、善良な市民だけを生き残らせるためある同盟が組成された。
自分もその会員であるが、君も入会させてあげる。
ただし、条件は、『同盟のことを他言しないこと』と『見聞きした悪事を告白すること』だ。」
ということでした。
伝染病のワクチンを打ってくれると言う善良な市民同盟
彼は、これまで勤めてきた会社の悪事を告白することで主に認められ、ある場所でワクチンを接種してもらうことができました。
また、彼が勤めてきた会社も主たちの力で、悪事が暴かれ不正な資金は没収されて倒産していったということでした。
これを機に真人間になろうとした彼は、本当に愛し合える恋人にも出会うことができました。
ただ、このままでは、恋人が奇病に罹ってしまうと考えた彼は、彼女を主の元へ連れて行って、彼女にもワクチンを打って欲しいと懇願します。
しかし、主は、彼が秘密を他言したことに怒り、彼を同盟から脱退させると宣言します。
すると彼は、「僕だけでも助けて下さい」等と言ってしまったもので、彼女にも去られてしまいます。
屋敷を追い出された彼は、奇病の大流行が始まる「最後の審判」の日をただ待つだけの絶望の日々を送ります。
ところが、いつまで経っても審判の日は来そうにありません。
そこで彼は、例のワクチンの接種場所に行ってみることにしましたが、そこはもぬけの殻になっていました。
屋敷の主は、彼のような悪徳会社の社員を騙して会社の情報を聞き出し、それをネタにその会社を脅迫って大金をせしめていた大悪党でした。
結局伝染病もワクチンも嘘で、同盟は姿を消していました。
失意のどん底で家に帰ったら、嫁が戻ってきていて「やっぱり一緒にいたい」と言います。
同盟に騙されたおかげで嫁との愛情が確認できて、逆に同盟に感謝している、というオチです。